一部の業界の労働力不足で若者の失業率は改善しない―仏メディア

Record China    2023年10月27日(金) 15時0分

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23日、仏国際放送局RFIは、仏紙「ルモンド」の上海特派員が中国の若者の失業率について分析する記事を同紙に寄稿したことを伝えた。写真は中国の缶詰工場。

2023年10月23日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、仏紙「ルモンド」の上海特派員シモン・ルプラット(Simon Leplâtre)氏が同紙に寄稿した記事において、「一部の業界の労働力不足で、現在の中国の若者の失業率を改善することはできない」と指摘したことを伝えた。

記事によると、シモン氏は「中国において、23年ほど若者の失業率が高かった年は今までなかった。6月には21.3%を記録し、3カ月連続で過去最高を更新しただけではない。新卒の就活生が労働市場に流入する7月の統計ではさらに悪化すると見越して、当局は8月に年齢層で分けた失業率の公表を一時停止するとまで発表した。この発表はネット上で天地がひっくり返るような批判を巻き起こし、中国のSNS・微博(ウェイボー)では数時間で1億4000万回の閲覧数を記録する話題となった」と説明した上で、「中国の若年層の失業率の高止まりの原因は、3年間にもわたったゼロコロナ政策や、前代未聞の危機に陥った不動産業界の影響で、国内消費を高めることができず、中国経済の回復が遅れているからだ。ただ、中国経済の指標になる基礎データが低迷しても、今年の中国は何とか年初に設定した『5%前後』の成長目標は達成できそうだ」と述べた。

次に「この危機的な状況で一番に打撃を受けるのは、経験に乏しい若者たちだ。国家統計局の公表したデータでは、9月分の都市部の失業率は5%となっているが、このデータは『農村部の人口が含まれていない』と批判を受けている。なぜなら、若者たちのほとんどが公共サービスや工業関連の企業ではなく、滴滴出行(ディディ)のような配車サービスや美団のような宅配サービスのような、危機の影響を最も受けやすい業界で就業している人ばかりだからだ」と指摘した上で、「さらに残念なことに、21~22年に中国当局はアリババテンセント、美団などのネット企業への監視を厳格化した。21年7月の学習塾やオンライン授業に対する規制も影響が大きかった。この規制で教育関連企業が半年間に10万社以上も消えた。同時に不動産業者の債務減少の運動により、建築士や現場作業員、不動産仲介業者などの仕事が数十万件は消えた。ゼロコロナ政策で高い代償を払わされた中国の企業家たちは、共産党が次にどの業界を叩くのかを探っている所だ」と指摘し、北京大学経済学部の張丹丹副教授が「若者の失業率が実際は46.5%に達した可能性がある」とオンライン記事で指摘したことや、仕事が3カ月見つからなければ統計の数字に入らない事にも触れ、「若者の失業率は当局が公開するデータよりもさらに悪い可能性がある」と論じた。

記事は最後に、12~21年の10年間で、労働市場に流入する若者のうち、学士以上の学歴を持つ人の割合が30%から58%に増えたデータや、香港恒生銀行のエコノミストの王丹氏などのコメントを紹介し、「23年の大学新卒者1200万人には、裕福な家庭の出身者が多く、子どもが就職できなくてもしばらくは養える財力を持っている。さらに彼らは一人っ子政策の下で生まれ育った世代だ。この世代の両親は子どもへの教育費をかなりつぎ込んでいるからこそ、若者たちは『生計が立てられる』だけの仕事をすることが受け入れられないだけだ」「2010年以前は、農村から都市へ人口が多数流入し、都市で暮らすためならどんな仕事でもやりたいという人が多く、求人募集も容易だったが、今は違う。若者たち自身だけでなく、若者たちの両親も工場で働くのを恥ずかしいと考えているようだ。ブルーカラーの人員を集めるためには、企業は仕事量や待遇面だけではなく、受け入れやすい仕事環境や文化を提供することも考慮しなくてはならない」と述べた。(翻訳・編集/原邦之

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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