韓国とサウジアラビアが韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領の初めての国賓訪問を機に21兆ウォン（約2兆3300億円）規模の投資協約を締結した。韓国は1970年代、中東に出稼ぎの建設労働者を派遣し、オイルマネーで潤った。韓国紙は「第二の中東ブームへの期待も高まっていると」と注目している。

中央日報によると、今回の投資協約は昨年11月、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の訪韓当時に締結した39兆ウォンの投資了解覚書（MOU）とは別だ。尹大統領は答礼訪問を通じてクリーンエネルギーやインフラ、先端情報通信技術（ICT）産業、そして防衛産業に至るまで両国間の協力範囲が大きく拡大する成果を上げた。

特にイスラエル・ハマス戦争勃発後、急変しつつある中東情勢の中でエネルギー輸入依存度が90％を超える韓国が主要産油国であるサウジの協力を引き出したことは評価に値する。サウジの国営石油企業サウジアラムコは韓国石油公社と530万バレル規模の原油共同備蓄契約を結び、2038年までに蔚山備蓄基地に原油を貯蔵・販売する。

韓国は5年間の賃貸期間を持つレンタル収入を保障されるのはもちろん、需給に問題が生じるなど有事の際に国内に備蓄されているアラムコの原油を優先購入できる権利を持つことになる。世界原油市場の不確実性が増加した状況で、エネルギー・セキュリティーを強化するという尹大統領の構想通り、サウジとの強いパートナーシップを構築したわけだ。

サウジをはじめ、中東は石油だけを輸入する産油国ではない。約50年前の建設中心の中東特需は言うまでもなく、中東は韓国にとって常に機会の地だった。米国と中国の覇権戦争以降、全世界的なサプライチェーン再編の中で中国向け輸出依存度を減らすことができる主要市場でもある。最大の貿易収支赤字を記録した昨年も、中東向け輸出額だけは前年比2桁の増加を記録した。

尹大統領は韓国・サウジ投資フォーラムで行われたヒョンデ（現代自動車）のサウジ自動車工場設立契約など目に見える成果以外にも、皇太子と会談して計675兆ウォンの新都市建設プロジェクトである「NEOM（ネオム）シティー」への韓国企業の参入を支援してほしいという要請を忘れなかった。大統領はサウジ王国の起源であるディリヤ遺跡地を訪問し、27兆ウォンに達する「ディリヤゲート」開発事業にも触れた。

中央日報は社説で「サウジは石油の枯渇に備えた水素経済エコシステムの構築など未来産業の確保に関心が大きい」と指摘。「サウジビジョン2030プロジェクト」を通じて30年までに発電需要の50％を再生可能エネルギーに代替する計画だ。関連産業の競争力を備えた韓国が、この機会を低成長局面から抜け出す再飛躍のチャンスにすることを期待する」と言及した。（編集/日向）