「進撃の巨人」のストーリーはわれわれに何を伝えようとしたのか―中国メディア

Record China    2023年11月10日(金) 20時0分

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7日、映画・ドラマの情報サイト豆瓣(douban)に「進撃の巨人」が伝えたかったストーリーについて論じる文章が掲載された。

2023年11月7日、映画・ドラマの情報サイト豆瓣(douban)に「進撃の巨人」が伝えたかったストーリーについて論じる文章が掲載された。(※本記事はネタバレを含みます)

文章は、同作について「4期にわたり多くのキャラクターが亡くなった。恨み合い、傷つけ合うことが多く描かれ、その原因の根底にはいわゆる巨人になる遺伝子があった。ごく普通の生活を営むエルディア人の中にそれは存在し、人を食う悪魔となる要素を常に秘めている」とし、「この力を前に、コントロールし、利用しようともくろむ人もいるが、多くの人々は忌まわしく思い、恐怖を感じている。そのため、エルディア人は全世界において“正常”な人々からは異人類、悪魔の末裔(まつえい)と認識されてきた。2000年前に始祖・ユミルが木の穴の中で巨人の力を手に入れたあの瞬間は、後世の人々、ひいては世界の運命に“呪い”を埋め込んだ瞬間ともいえる」と説明した。

また、「ストーリーを見ると、現在も過去も起きていることは変わらない。エルディア人はマーレ人に仕え、マーレ人はエルディア人を排除する。マーレ人は壁(エルディア人の住むパラディ島を囲む城壁)を壊し、エレンらは復讐のためマーレ人に攻撃を仕掛ける。どちらも根本には同じ原因があり、歴史は堂々巡りをし、誰もが同じ過ちを繰り返すのだ」と指摘。「ではどうすればこの悪循環を克服できるのか。答えはとても簡単で、その(巨人の)力を抹消し、呪いを消せばいい。全てのエルディア人を普通の人間にすればいいのだが、具体的な策を実行する上で2つの派閥に分かれることとなった」とした。

そして、「1つ目はジーク(エレンの異母兄)により提案された策。始祖の力を利用し、エルディア人全員に子どもをもうけさせず、安楽死へと追い込む。種族の断絶に伴って巨人の力を自然に消滅させるのだ。この方法の最大のメリットは、今この瞬間起こっている衝突を避けることができる点だが、デメリットは明らかだろう。つまり、この方法はエルディアの最終的な(種の)断絶を対価として行うしかない。エレンを含め、多くのエルディア人が受け入れようとしないのは想像に難くない。結局、全ての遺伝子は増殖のために存在し、種の断絶への抵抗はほぼ本能的なものである」とした。

一方、「2つ目はエレンの策。彼は同胞の滅亡に頼ることなく呪いを消し去る可能性を見いだしていた。彼は未来を見通し、“座標”においてユミルが選択し、歩んできた道を理解した。具体的に言うと、まず“地ならし”を発動させることで、壁外の80%の人類を消滅させ、新たにパワーバランスのとれた世界を創ることだ。次にミカサに殺されることで、呪い(=巨人になれる力)を完全にエルディア人から消せば目的は達成される。ただし、この場合の対価は壁外の無数の人々の命を奪うことである」とした。

文章は、「エレンが始祖の巨人の力を掌握し、地ならしを発動した時、彼は全世界の敵となった。自身の同胞であるエルディア人はその他民族と手を組み自分を阻みに来る。そして、自身の愛する人の手にかけられることで、事実上、新たな世界を創造した。エルディア人は絶対的な敵ではなく、同じ脅威に対抗する仲間だ。生き残った人類からすれば、新たな世界の物語とは協力し信頼することで、憎しみや分裂を手放すことである」とし、「エレンが犠牲になったあの瞬間に、世界の片隅で子どもが生まれたのは、新たな世界で初めて命が生まれ落ちた瞬間でもあったのだ。その子どもにとっては、壁も、民族間の恨みも、悪魔(=巨人)の脅威も、運命に翻弄(ほんろう)されることも、仲間と敵対することもない新しい世界だ。これこそエレンが憧れていた自由なのだろう」と推察した。

また、「人は生まれながらに違う。争うことは人々の遺伝子に刻まれている。極端にいえば、世界にたった2人しかいないとしても彼らの間には対立、戦争が生まれる。同作で目にした通り、全人類の存亡の瀬戸際において、生き残った人々は依然として互いに殺し合うことをやめられない。2人の時ですらこうなのだから、78億人であれば衝突は拡大し、人々の群れはさらに散り散りとなる。それが民族、信仰、利益、そして現在置かれた立場の違いとなるのだ。現在まさに進行しているパレスチナ問題が正にいい例ではないだろうか」と言及した。

そして文章は「『進撃の巨人』が出した平和の答え」と題し、「同作からは3つの平和に関する答えが見て取れる」とした。

1つ目は、「人類の平和に利益のある世界の物語の確立」とし、「人類は伝承された事実に多く依存している。人類は種(=ホモ・サピエンス)として同じだが、現実の世界では人種、宗教、国、利益、階級などによって区別され、その根本は伝承された事実に基づいている。そうである以上、われわれは(平和に)有利な事実をつくることによって世界平和を実現することができるだろう」とした。

2つ目は、「全ての人類を絶滅させるほど強大な外敵を作り出すこと」とし、「実際、同作中でエレンが地ならしを発動したことでこの状況が確立した。つまり、全人類を絶滅させるほどの強大な外敵を作り上げれば、やがて人類という種がかつて見せたことのない団結を目の当たりにすることができるだろう」とした。

3つ目は「戦争は永遠になくならないが平和も同時に訪れること」とし、「共通の外敵がいても、人類に利益のある新しい世界の物語を築いても、人と人との戦いが完全に消えることはない。同作の結末では、世界中が荒廃し、多くの命が消えた。生き残った人類は対立を続けることもできるが、協議によって一時的な平和を達成することも必要なのだ。諌山氏は全体を通じて、やはりネガティブに『この問題は解けない』と言っていたのか。恐らくすべてがそうではないだろう」とした。

文章は最後に、「幸いなことに、われわれは地球上の人類の80%を滅ぼして平和を実現する必要はない。より多くの人が同作の物語を知れば、作品が伝えるテーマの全てが人々の心に届き、この世界に2000年を超える平和をもたらし続けられると信じている」としつつ、「だがもちろん、この答えがネガティブなものなのかポジティブなものなのかは分からない」と述べた。(翻訳・編集/柳朱音

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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