フライメディア 2023年11月20日(月) 17時30分
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上海の古い街並みが残る進賢路で家庭料理を味わった。
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上海料理の特徴は「濃油赤醤」。油を多く使い、しょうゆで味付けする。砂糖を多用する特徴もあり、「見た目は茶色、食べると(甘めに偏り気味の)甘じょっぱい」というのが多くの上海料理に共通する。
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上海の古い街並みが残る進賢路で家庭料理を味わった。進賢路は旧フランス租界のエリアにある。短い通りだが、沿道には古い長屋風の建物がそのまま残り、1階がこじんまりとした商店、上階が住居で、味のある風景となっている。特に夜はバーや日本風の居酒屋も開店し、にぎやかだ。
進賢路にある老舗の上海家庭料理店「茂隆」は、こざっぱりとした店構えで、店内の白いカーテンは昭和の食堂をほうふつさせる。テーブル席が5つのみで、ホールは店主夫婦が切り盛りしている。予約は受け付けておらず、満席時は外で席が空くのを待つ。
各テーブルにメニューがある。中国語がおぼつかない旅行者は番号で注文しても良いだろう。茂隆の看板メニューは1番の「紅焼肉」。いわゆる豚の角煮の上海料理バージョン。ミシュランの評価も得た一品だ。2番の「紅焼肉尖椒」は紅焼肉に尖椒(唐辛子)を加えて調理したもので、少し辛い。こちらも人気メニューだ。料理はどれも上海の家庭でよく食べられているものばかり。
「紅焼肉尖椒」を注文した。上海料理の特徴をよく表している茶色の見た目に甘めの味付けだ。唐辛子(ここで使われているのはほんのり程度の辛い味がするピーマン)が使われていることで、肉の脂っぽさが緩和されてピリッとした味わいになり、箸が進んだ。
続いてメニュー番号51の「酒香草頭」。ウマゴヤシという一見クローバーの葉のような青菜を炒め、白酒で香りづけしたもの。日本にはあまりない青菜のため、珍しい味わいにびっくりすることだろう。青菜自体はごく少々の苦味があるものの、白酒の香りにとても合う。こってりした紅焼肉の箸休めにもちょうどいい一品だ。
メニュー番号28「白切肚尖」は豚の胃をゆでたもの。しょうゆを付けて食べる。モツよりも癖のない味で、分厚いものの程よい弾力があり、かみ切れる。モツが苦手な人も食べやすいだろう。
メニュー番号48「韮黄炒蛋」は店主が「日本人客にも好評のメニュー」と教えてくれた。緑のニラよりも柔らかく、風味も穏やかな黄ニラに、優しい味の卵がよく合う。
筆者が食事を楽しんでいる間、客がひっきりなしに入店し、店主はその都度、外で順番待ちをするよう声をかけていた。予約は受け付けていないため、ピーク時間(昼は正午、夜は午後6時過ぎ)を避け、開店直後に行くことをお勧めする。実はこのお店、日本の有名歌手もお気に入りとのうわさを聞きつけ、接客に忙しい店主の暇を見つけて伺ったところ本当にそうで、今もサインを大事に取ってあるとのこと。先日訃報があった彼の思い出話を忙しい中語ってくださった。日本人のみならず、多くの中国人に愛されていた。ご冥福を心よりお祈りする。
この進賢路は上海を訪れる日本人の定宿的存在のガーデンホテルのすぐ裏にある道。もし宿泊する機会があればぜひ立ち寄ることをお勧めする。(提供/フライメディア)
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