Record China 2023年11月22日(水) 7時0分
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香港メディアの香港01は20日、中国経済は米国を超えるのかという注目の話題について、政治経済外交専門誌フォーリン・アフェアーズが複数の国際的なエコノミストにインタビューした記事を掲載した。写真は上海。
香港メディアの香港01は20日、中国経済は米国を超えるのかという注目の話題について、米外交問題評議会(CFR)が発行する政治経済外交専門誌フォーリン・アフェアーズ(Foreign Affairs)が複数の国際的なエコノミストにインタビューした記事を掲載した。
米国が科学技術、経済、貿易、軍事の分野で中国との競争を推し進める中、米国では「中国の経済規模がいつ米国を上回るのか」という議論が続いており、その時期について国際的な学者の間でも意見が分かれている。フォーリン・アフェアーズは13日、中国と米国の30人以上の経済専門家にインタビューし、「名目国内総生産(GDP)を判断基準として、中国経済は最終的に米国を追い越す」という論点で回答を求め、「強くそう思う」「そう思う」「そう思わない」「強くそう思わない」「どちらでもない」に分類し、専門家それぞれの見解を比較して判断の理由を示した。
同誌はまず、「強くそう思う」と回答した中国のエコノミストで元世界銀行チーフエコノミストのジャスティン・イーフーリン(Justin Yifu Lin)北京大学新構造経済学研究院(Institute of News Structural Economics)院長の意見を紹介。イー院長は、「中国の人口は米国の4倍以上であり、1人当たり名目GDPが米国の125%にならない理由はない」と述べ、中国経済が米国を追い越す理由として「中国の発展モデルは市場経済を利用して起業家精神を刺激することにあり、政府は起業家や産業がイノベーションの過程でぶつかる市場の障害を克服できるよう支援できるから」と指摘した。
同様に、「強くそう思う」と回答したシャオダー・ワン(Shaoda Wang)シカゴ大学助教は、「中国経済は不動産や人口動態で悪材料を抱えているが、中国はまだ中所得国であるため、経済システムには実現可能な多くの潜在力がある。また中国は今後米国の数倍のSTEM人材(科学、技術、工学、数学を統合的に学び科学技術の発展に寄与できる人材)を輩出すると予想されるため、米中戦争が勃発しない限り、中国の名目GDPが米国を上回らないとは思えない」と述べた。
また、アンドリュー・J・ネイサン(Andrew J.Nathan)コロンビア大学政治学教授は、「経済成長の鈍化は今後も続くと予想されるが、中国の経済規模は非常に大きいため、ペースが遅くても米ドルベースのGDP規模ではいずれ米国経済を上回るだろう」との見方を示した。
次に、記事は「そう思う」と回答した専門家の意見を紹介。スコット・ケネディ(Scott Kennedy)戦略国際問題研究所(CSIS)シニア・アドバイザーは、「中国の高度経済成長は終わったが、民間企業や消費者に対する政策を改善すれば、今後20年間は緩やかな成長を期待できる。一方、米国の経済成長は不安定なレベルにとどまると予想されるため、中国経済が米国を追い抜く可能性は50%以上だろう」と述べた。
ハーバード大学のメグ・リズミア准教授(Meg Rithmire)は、「中国は構造的な問題に直面しており、企業や国民は政府に不信感を抱いている。しかし、こうした問題が永久に続くと考えるのは愚かだ。同様に中国の経済成長が鈍化すると考えるのは妥当だが、経済政策が決して変更されないと考えるのは間違いだろう」と指摘した。
記事はこのほか、「そう思う」と回答した専門家として、米カーネギー国際平和財団アジア・プログラムのシニアフェローでエコノミストのユーコン・ホアン(Yukon Huang)氏、カリフォルニア大学サンディエゴ校のスーザン・L・シャーク(Susan L.Shirk)氏、リウ・ゾン・ユエン・ゾー(Zongyuan Zoe Liu)CFR研究員、スタンフォード大学フーバー研究所シニアフェローのエリザベス・エコノミー(Elizabeth Economy)氏、ハーバード大学ケネディスクールのジェフリー・フランケル(Jeffrey Frankel)教授、エコノミストのルイス・マルティネス(Luis Martinez)シカゴ大学助教らの名前を挙げた。
一方、記事は「そう思わない」と回答した専門家の多くが、中国の経済政策は今後すぐに改善されないとの見通しであると述べ、「中国が一刻も早く市場経済改革の深化に着手すれば、2060年から2100年の間に中国が米国を追い抜く可能性はある」(米大手経済コンサルティング会社ロジウム・グループの創設者、ダニエル・ローゼン氏)、「経済政策が改善されれば、人口動態が厳しくなる前に中国が一時的に世界一になる可能性はあるが、少なくとも15年間はまだその兆しはない。 中国が現状の経済政策を続ければ、米国を追い越すことはないだろう」(米エンタープライズ研究所シニアフェローのデレク・シザー氏)、「中国経済の消費者主導モデルへの移行が進まなければ、おそらく世界一の経済大国にはなれないだろう」(データ分析プラットフォームのチャイナ・ベージュブックのエグゼクティブ・ディレクター、シェザード・カジ氏)との見解を紹介した。
中国経済の減速やその要因について、CSISのリリー・マッケルウィー(Lily McElwee)研究員は、「中国経済の減速は一時的なものではない。不動産、地方政府の債務、人口動態などの課題に直面する中国は、成長するための新たな原動力が必要だ。だが中国政府は国内消費や生産性を高める政策を発表することはないだろう。少子化対策や高度な社会保障制度が欠如しているため、若者の将来に対する不安が高まり、出生率の低下が逆転する兆しもない。中国が今後、政治的、外交的、経済的調整を行わない限り、米国とその同盟国による規制強化が緩和される可能性は低い」と説明した。
記事はさらに「強くそう思わない」との回答を寄せた中国経済の専門家でカーネギー国際平和財団シニアフェローである北京大学光華管理学院のマイケル・ペティス(Michael Pettis)教授(金融学)の見解として、「中国は構造的不均衡の存在を認めているが、まだ解決には至っていない。中国が高いGDP成長率を維持する唯一の方法は国内の富の移転であり、それは不可能ではないが、政治的に議論の余地がある」と伝えた。
記事は最後に「どちらでもない」と回答した専門家の意見を紹介した。元国家安全保障会議中国問題部長でブルッキングス研究所ソーントン中国外交センターのライアン・ハス(Ryan Hass)所長は、「中国経済がGDPで一時的に米国を追い抜き、また米国に追い抜かれることはあり得る。 中国経済にはまだ巨大な潜在力が秘められているが、そのパフォーマンスは期待を下回るかもしれないし、今後数十年は逆風が強まるだろう。 その結果、中国は当分の間、米国にとって持続的ではあるが『制約された』競争相手であり続けるだろう」との見方を示した。
またハーバード・ケネディスクールのラナ・ミッター(Rana Mitter)教授(中国史・政治学)は、「新たな技術開発や地政学的な政治問題による衝撃が、いつ両国の経済成長率を大きく変えるか分からない。変数が多すぎる」と指摘し、インヤオ・ワン(Yingyao Wang)バージニア大学社会学部助教は、「中国の製造業の潜在力はまだ枯渇しておらず、消費者主導の経済ではさらに多くの可能性がある。 しかし、地政学的圧力や国内環境に関する一連の不確定要素が、消費型成長の恩恵を相殺する可能性がある」と述べている。
さらにトーマス・G・ラウスキー(Thomas G.Rawski)ピッツバーグ大学教授(経済学・歴史学)は、「米国の4倍の人口を抱える中国の潜在的な将来成長率は米国をはるかに上回り、 中国の名目GDPは将来のある時点で確実に米国を上回るだろう。 しかし、私は中国のGDP統計を信用していない」と述べた。(翻訳・編集/榊原)
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