日中はなぜ「戦略的互恵関係」を温め直したのか―仏メディア

Record China    2023年11月24日(金) 15時0分

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22日、仏国際放送局RFIの中国語版サイトは、日本と中国が一度は冷却化した「戦略的互恵関係」を温め直していると報じた。

2023年11月22日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、日本と中国が一度は冷却化した「戦略的互恵関係」を温め直していると報じた。

記事は、岸田文雄首相が16日に米サンフランシスコで中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と1時間余りにわたって会談し、日中間のさまざまな懸案を対話を通じて解決し、日中間の戦略的互恵関係の位置づけを再確認することで一致したと伝えた。

そして「戦略的互恵関係」について、小泉純一郎首相(当時)の度重なる靖国神社参拝などで低迷していた日中関係の改善を目指し、2006年10月に政権を発足させた安倍晋三首相(当時)が真っ先に中国へ赴いて胡錦濤(フー・ジンタオ)国家主席(当時)と首脳会談を行い、その後発表された日中共同コミュニケで提唱されたのが最初だと紹介。08年には胡氏が訪日して福田康夫首相(当時)とともに「戦略的互恵関係の全面的推進に関する日中共同声明」に署名し、これが日中関係を導く「4つの政治文書」の一つとなったと伝えている。

一方で、新型コロナの流行拡大によって日中両国は観光を基軸とした民間交流がほぼ断絶状態となったほか、ロシアウクライナ戦争後は日米欧と中露の拮抗が鮮明になり、日中関係は「戦術的互損関係」の状態に陥ったと指摘。日本は経済、貿易面でも中国に対して国際政治の立場に追随する姿勢を取り、高性能半導体製造装置の輸出を規制するなどの措置を発動してきたとした。また、中国政府も半導体材料や新エネルギー分野で広く使われているガリウムやゲルマニウムなどのレアメタルの輸出規制を発表するなどの対抗措置をとってきたほか、日本が今年8月24日に福島第1原発の汚染処理水海洋放出開始を理由に、日本の水産物の輸入を全面的に禁止し、日本の対中食品輸出に大きな打撃を与えたと紹介した。

その上で、中国が日本にとって食品輸出の最大かつ最も重要な顧客であるために日本の経済や漁業は少なからぬ打撃を受け、岸田内閣の支持率が12年の自民党政権復活以降最低の支持率をたたき出す要因にもなったと指摘。一方で、中国国内で「日本海で取れた魚介類は放射能汚染の可能性がある」という根拠のない情報がネット上で拡散したことにより制裁を発動した側である中国の水産業にも打撃が及び、9月23日に呉江浩(ウー・ジアンハオ)駐日中国大使が「風評被害は、中国漁民も同様だ」との認識を示したことを伝えている。

記事は、米国が現在、ウクライナ、中東、台湾海峡の3カ所で同時に敵をつくることを避けるべく米中関係の改善を図っており、日中両国もこれを機に「戦術的互恵関係」の状態に戻したいと考えているとした上で、「サンフランシスコでの日中首脳会談は良い出発点といえるが、戦略的互恵関係を真に回復するためには、まだ長い道のりがある」と評した。(翻訳・編集/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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