中国3隻目の空母「福建」が間もなく試験航海か、電磁カタパルトも装備

Record China    2023年11月27日(月) 8時0分

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米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」傘下の「チャイナ・パワー」はこのほど、中国の3隻目の空母として江南造船所(写真)で建造中の「福建」が近日中に試験航海を開始する可能性が高いと発表した。

米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」傘下の「チャイナ・パワー」はこのほど、中国にとって3隻目の空母である「福建」が近日中に試験航海を開始する可能性が高いとするリポートを発表した。同艦には米国も最新鋭空母にしかない最新鋭の電磁カタパルトに類似する装置を搭載するという。

チャイナ・パワーは、上海にある江南造船所と滬東中華造船の造船所2カ所は中国海軍が現代化を進めるための重要な拠点として、最近の商用衛星画像に基づいた分析結果をリポートした。空母「福建」関連はその一部だ。

「福建」が建造されているのは江南造船所で、チャイナ・パワーは建造が始まった2018年から観察を続けてきたという。「福建」にはカタパルト3機が装備されているが、23年10月17日に撮影された画像では、長期にわたってカタパルトを覆っていた保護用遮蔽物が、作業員によって取り除かれる様子が写っていた。カタパルト関係の主要な作業は終了したとみられるという。

中国が最初に保有した空母はウクライナが途中まで建造してから放棄した「ワリヤーグ」だった。当初はマカオの民間企業が「海上カジノとして使用する予定」として購入した。しかしその後、中国海軍の保有となり、改造されて「遼寧」と命名された。母港は大連だ。ただし「遼寧」保有の主たる目的は実戦配備ではなく、研究と練習のためとみられている。2隻目の空母は自国で製造した「山東」で、「遼寧」の改良型とされる。

航空母艦の歴史を見れば、航空機の重量の増加が第二次世界大戦前から問題になっていた。陸上の飛行場に比べて空母では設定できる滑走距離が極めて短く、艦載機の発艦が困難になったからだ。戦後になり軍用機のジェット化が進むと、重量はさらに増して、同問題はさらに深刻になった。

そのため米国では、艦側で発生させた動力をワイヤーを通して航空機に伝え、発艦時に大きな加速度を与えるカタパルトと呼ばれる射出装置が開発された。しかし実用性に富んだカタパルトの開発は困難で、安定した運用に成功したのは米軍だけだった。現在では、カタパルトが装備されていない空母は垂直離着陸機を運用する艦を除き、艦首部分の先端部分を上にそらせて艦載機の上昇する力を追加する方式だ。同方式は形状から「スキージャンプ式」などと呼ばれる。

スキージャンプ式の場合にはカタパルト利用と比べて、艦載機の重量制限が極めて大きくなる。そのため、搭載兵器の制約が大きいなどで、結果として航空母艦としての戦闘能力は劣るとされる。

中国が保有した「遼寧」と「山東」はいずれもカタパルトを装備していない「スキージャンプ式」だった。しかし「福建」は電磁カタパルトを搭載している。しかも、米国が長年使ってきたカタパルトは蒸気の力を利用するものだったが、「福建」は電磁力を利用するカタパルトを搭載した。この電磁カタパルトは米国でも最新鋭空母のジェラルド・R・フォード級航空母艦にしか搭載されていない。チャイナ・パワーは「福建」の電磁カタパルト搭載について「従来型の蒸気式カタパルトを飛び越えた」と表現した。

チャイナ・パワーによると、最近になり「福建」のすぐ後方に、APと呼ばれる補助艦船が停泊していることが確認された。APは大型船舶内で作業をする大量の人員が下船する際に収容するための船で、空母建設の際にAPがやってきたことは、空母が試験航海を始める予兆という。そのためチャイナ・パワーは、「福建」の試験航海が間もなく始めることを示唆すると論じた。

チャイナ・パワーは「福建」を巡る今後について、まず船体の堅牢さと機動性を確認すると説明した。その後は兵器やカタパルト、その他の能力について試験していくので、期間としては数カ月から数年かかるだろうと予測した。

チャイナ・パワーによると、江南造船所では「福建」以外にも、新型宇宙測量船「遠望-8」の建造や052D型ミサイル駆逐艦2隻の艤装(ぎそう)が進んでいる。駆逐艦2隻については、間もなく進水するとみられるという。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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