中国リメーク版「花束みたいな恋をした」始動、自作のご当地版シナリオ投稿で盛り上がり

人民網日本語版    2023年12月12日(火) 19時30分

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アリババ・ピクチャーズ・グループは中国版「花束みたいな恋をした」の制作プロジェクトが始動したことを発表した。

アリババ・ピクチャーズ・グループ(阿里巴巴影業集団)は金鶏百花映画祭で、中国版「花束みたいな恋をした(中国語タイトル:花束般的恋愛)」の制作プロジェクトが始動したことを発表した。同社によると、1年の月日をかけてようやく脚本家・坂元裕二から映画のリメーク権を手に入れ、来年中にもクランクアップする計画という。

この情報が明らかにされると、映画ファンの間ではこの話題でもちきりとなり、ポスターの醸し出す雰囲気から「日本版の文学的なムードを引き継いでいる」「『男の子』や『その子』といった文字を見て、切ない青春時代を思い出した」といったコメントを次々と寄せている。

邦画「花束みたいな恋をした」は2021年1月29日に日本で公開された。土井裕泰監督がメガホンを取り、坂元裕二が脚本を担当、菅田将暉有村架純が主演を務めた。2022年に中国で公開された際には、興行収入が9606万2000元(約19億2124億円)で、中国のコミュニティーサイト「豆瓣」では8.6ポイントと高い評価がついた。

何気ない日常を捉えながらも、リアルな恋人たちの姿を描いた「花束みたいな恋をした」では、山音麦と八谷絹が終電を逃したことをきっかけに知り合うところからストーリーが始まる。映画の半券をしおり代わりにし、好きな文学や映画、音楽などの趣味が同じことで意気投合。しかし大学を卒業し、社会に出て、現実的な責任や人生における重要な選択に直面した時、2人の意見はすれ違うようになる。

映画は、同棲する2人が一緒に食事をしたり、遊んだり、しゃべったりしているシーンがほとんどで、駆け引きや修羅場はなく、会話や日常生活の雰囲気を通して、観客を引き付けている。趣味が同じであるため意気投合して恋人になった麦と絹は、現代の多くのカルチャーやアートを好む若者と同じであり、「カルチャーやアート好きな豆瓣ユーザーのための映画」といったコメントも寄せられているほどだ。

同映画の脚本は「東京ラブストーリー」「カルテット」「大豆田とわ子と三人の元夫」などの大ヒット映画やドラマを手掛けてきた坂元裕二が担当した。ストーリーは東京を舞台に展開されているものの、登場する多くのカルチャーやアート作品、そして若者ならではの暮らしぶりには、中国の若者も共感を覚えている。そのため、中国各地の多くのネットユーザーが先を争うかのように、日本版の文学的スタイルに、人情味あふれるそれぞれの地域の特色を加えた「○○バージョン」の「花束みたいな恋をした」のシナリオをネット上に投稿。ネットユーザーからは「エモい」「まるで自分自身を見ているよう」といったコメントが寄せられている。

想像力豊かなネットユーザーは、中国各地のローカライズ版「花束みたいな恋をした」のシナリオを作成している。例えば、日本版で、麦と絹は終電を逃し、一緒に入った深夜営業のカフェでたまたま人気映画監督の押井守が近くに座っているのを見つけ、それに気づいたのは自分たちだけだったため、互いにリスペクトし合うが、ネットユーザーが作成した北京版では、「北京風モツ煮込みの鹵煮を食べている時に、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督に遭遇」というエピソードになっている。また、日本版では、麦と絹は初デートで東京の科学博物館にミイラ展を見に行くのに対して、北京版では「特別展を見るために798芸術区に行く」エピソードに、上海版では「上海国際映画祭に行くチケットを協力して手に入れようと助け合う」エピソードで、互いの思いを深めている。

北京版と上海版のシナリオがネットで大きな話題を集めると、多くのネットユーザーが触発されて、広州版や杭州版、南京版、武漢版、長沙版、東北版、深セン版、河南版、重慶版などを作成。日本版のストーリーをベースに、各地の文化的なランドマークやリーズナブルな代表的なストリートやリーズナブルなグルメ、若者の没入型体験を楽しむ「シティーウォーク」のコースなどを盛り込み、各地のネットユーザーが共感を覚えている。また、他の地域バージョンも続々と登場し、公務員試験に対する熱意が高いというイメージがある山東版の「一緒に公務員試験を受けたのに、不合格となり、2人は別れる」というエピソードには、多くの人が思わずニヤリとしている。

中国では最近、海外の人気映画のリメーク版が続々と発表されている。例えば、映画「二手傑作」のオリジナル作品は米国の「ディア・ダディ 嘘つき父さんの秘密」、「拯救嫌疑人」のオリジナル作品は韓国の「セブンデイズ」、「無価之宝」のオリジナル作品は韓国の「担保」、「瞞天過海」のオリジナル作品はスペインの「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」となっている。

「脚本業界では、『一流のオリジナルよりも三流作品のリメーク版の方がいい』という言葉が流行している」とする業界関係者もいる。リメーク版はスピーディーかつ安定して市場に供給できる。ただ、リメーク版は失敗に終わることも多い。そのため、「花束みたいな恋をした」のリメーク版制作が発表されて以降、「期待しない」とする人も多く、「オリジナル作品があれほど高く評価されたのは、名言や名台詞がたくさんあり、生活の細かな所までリアルに表現されていたからであるほか、社会問題を織り込んだストーリーとなっていたから」という声もある。中国と日本の社会や文化的な背景には違いもあり、文化的要素をそっくりローカライズしたとしても、そして、北京や上海、広州といった大都市を舞台にしたとしても、これほどシンプルな恋愛を描き出すのは難しいのではないかとしている。あるネットユーザーは「『花束みたいな恋をした』の中国版が、その名言や名台詞を単にそのまま中国語に翻訳するのではなく、じっくり観察して考え抜いた名言や名台詞を生みだす坂元裕二のきめ細やかな手法に学ぶことを願っている」とのコメントを寄せている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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