〈新時代の新疆ウイグル自治区10〉「対口」と「駐村」、安定と発展に大きな力

小島康誉    2023年12月16日(土) 16時0分

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北京や上海など大発展19省区が新疆を援助する「対口援疆」概念図(「百度百科」より)

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11月1日、中国国務院決定による「中国(新疆)自由貿易試験区」の成立式が馬興瑞書記、艾尓肯・吐尼亜孜主席らが出席してウルムチで挙行されたと「天山網」が報じた。「一帯一路」の要衝としての地理的優位性を活かし、物流や金融などの産業発展を目的としている。区都のウルムチ市・南新疆のカシュ市・西新疆のコルガス市の3エリアで、計約180平方キロメートル。一連の自由貿易政策により新疆発展は加速するであろう。

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新疆トップに馬興瑞書記(中央政治局委員)が就任して12月25日で2年、宇宙航空工学の専門家で工学博士、改革開放の先頭を走る広東省書記からの赴任。筆者は「天山網」などでその活動を見続け、新疆の友人たちの声も度々聴き、さらに今回の会見を通じて、その開放的姿勢を強く感じている。強力な指導力により新疆の安定と発展は加速するであろう。

以上2点の加速要因のほか、新疆の安定と大発展の大きな力となっているのが「対口」と「駐村」。中央政府の決定により実施されている北京や上海など大発展地域が新疆を援助する政策「対口援疆」。災害時に相手を決めて支援するシステムから生まれた支援方式で、19省区が人材・技術・管理・資金などを通じて新疆を援助。2010年から開始され新疆発展に大きな効果を上げている。「人民融媒体」(22.8.27)によると、1700億元(約3兆5000億円)を超えている。

深センの「対口」援助によるカシュの大型バス。筆者が鏡に

北京の「対口」援助で建設中のホータン文化センター(2015年10月視察時撮影)

北京の「対口」援助により2020年5月竣工したホータン博物館

新疆政府機関の幹部が発展途上の村々の人々を支援する「訪恵聚」(訪ね恵み聚する)活動は2014年から開始された。幹部が交互に派遣され2年3年と村に駐在し民生改善へ具体的活動を実施することから「駐村」とも称される。筆者は2015年、駐村激励にアクス・ホータン・カシュへ出かけ、派遣されている人々の活動を視察したが、限られた条件のなか奮闘していた。その際、農業用井戸掘削・街路灯設置・小学校や幼稚園修理なども行った。

農業用井戸掘削に喜ぶ農民たち

寒村に街路灯を数基設置、夜間も歩けると喜ばれた

修理を終えた幼稚園の庭で園児や「駐村」の人たちと

新疆ウイグル自治区では漢・ウイグル・カザフなど47民族が協力しあって共住している。多民族ゆえの課題もある。日本ふくめどの国にも同様の問題がある。相互理解が難しいのは日中/中日関係も同様で、容易ではない。一面的な色眼鏡的ネガティブ報道に惑わされることなく、多面的に捉えるべきと思う。「新時代の新疆ウイグル自治区」にも一部の「嫌中派」「反中派」から厳しいコメントも寄せられた。どの国でも同様で一部の「外国嫌い派」が独自の主張を展開。それらの批判も評論も尊いが「敬隣永安」「SDGs」「世界平和」の具体的実践こそ重要ではなかろうか?

新疆ウイグル自治区は多民族が協力しあって共住している

日中関係が冷え込んだままの今こそと、コロナ禍明けを待ち老体に鞭打って訪問3週間。新疆の安定と発展を再確認した。一方で「日本への見方も少し変わった」「日本にもいろんな人がいることが分かった」などの声もいただいた。相互理解促進の一助となればと願うばかり。公式行事続き、少々疲れるも朝夕の誦経と四・九日の剃髪で心身整え、充実の日々。「名月と友におくられ旅おえる」、日中双方の皆々様ありがとうございました。

本連載を配信いただいた「レコードチャイナ」と検索いただいた皆様に感謝します。新疆へ是非お出かけください。そして自分の目で見て肌で感じたことを発信ください。新疆は美しい所、楽しい所、美味しい料理いっぱい。中国で活気あふれる都市として「北上広深杭」(北京・上海・広州・深セン・杭州)が挙げられているが、新疆が加わり「北上広深杭新」となることを願っている。「環球網」(23.11.10)が「新疆を150回以上訪問した日本人:新疆は第二の故郷、死後タクラマカンに埋葬希望」と報じたが、生命ある限り奮闘したい。合掌三拝

■筆者プロフィール:小島康誉


浄土宗僧侶・佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表・新疆ウイグル自治区政府文化顧問。1982年から新疆を150回以上訪問し、多民族諸氏と各種国際協力を実施中の日中理解実践家。
ブログ「国献男子ほんわか日記」
<新疆は良いところ>小島康誉 挨拶―<新疆是个好地方>
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小島康誉氏コラム

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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