亜洲週刊 2024年1月1日(月) 9時0分
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香港・亜洲週刊は「2023年の風雲児」として中国BYD創業者の王伝福氏と、ファーウェイの余承東常務役員を選出し、「米国による制裁を受け中国の民間企業の爆発力を示した」などと論評した。写真は王伝福氏。
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香港誌「亜洲週刊」はこのほど「2023年の風雲児」として中国の電気自動車(EV)大手のBYDの創業者である王伝福氏と、華為技術(ファーウェイ)の余承東常務役員を選出したと紹介する記事を発表した。選出の理由として「米国による科学技術分野での制裁を突破し、逆境の中でイノベーションを起こした。中国の民間企業の爆発力を示した」などと論評した。
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記事は王伝福と余承東の両氏について、いずれも安徽省出身であり、1960年代生まれで、若い時期に苦労をして、自力で奮闘して上を目指す人生を歩んできたと指摘した。安徽省は長江と淮河が流れる土地で、昔から豊かではあったが、天災による大打撃を受けることも多かった。つまり人の運命が激変することが多かった土地であり、突然の逆境に遭遇しても勇敢に突破を試みる「粘り強い気風」が育まれた土地という。
余承東氏は1969年に安徽省の貧しい農家に生まれたが、生まれた直後に兄が不慮の事故で亡くなり、母親はショックのあまり乳が出なくなった。余氏は重湯を飲まされたが、栄養不良で死にかけたという。王伝福氏は1963年に、やはり農家に生まれた兄弟姉妹が計8人いたが、両親は王氏が10歳の時に相次いで亡くなり、王氏は独立心を身に着けたという。
独立心が強かったのは余氏も同様だ。幼いころから負けず嫌いで、けんかをすると顔が血だらけになっても相手に立ち向かっていったという。幼い時分から逆境にあっても勉学に励んでトップクラスの成績を収めて、生まれた村での初めての大学生になったことも、進学先に理工系を選んだことも、二人の共通点だ。
二人が大学生になったころの中国では改革開放が始まっていたが資本力や資金力、技術力の欠落は甚だしく、「シャツを何億枚も売ってボーイング1機を入手する」という方式を取らざるをえなかった。しかしその後、中国が経済力をつけると西側諸国は中国の台頭を警戒するようになった。
そのため、それまでのような「安価な労働力を利用して安価な商品を大量生産して輸入で儲ける」というビジネスモデルは、次第に難しくなっていった。ファーウェイとBYDは、まさにそのような状況で台頭した新たなタイプの中国民間企業だ。共通点は技術力重視と、開発などにおける「自力更生」を厭わなかったことだ。
中国は改革開放の初期の自動車政策で、特に乗用車については、先進国の主要企業との技術や経験の差が大きすぎることを直視して、外国の一流ブランドの中国招致に力をいれた。中国の大地走る乗用車は、ほぼすべてが外国ブランドの車になった。しかし現在は、世界市場に目を向けても、EV分野の総合力でBYDと競えるのはテスラだけという状況だ。BYDの実力は、中国の自動車製造業が「追い越し」の大きな一歩を踏み出したことを物語っている。
ファーウェイは深センのハイテク企業として成長し、創業者の任正非氏の独立自主精神を堅持し、自力更生の技術路線を発揮し、米国の厳しい制裁を受ける中で活路を築き、企業としての威風を示すようになった。
中国では改革開放が始まって以来、「作るより買う、買うより借りる」という方式が主流になった。その典型的な実例が、西側からの先進的な技術や設備の大量導入だった。この方式が中国の経済発展を大いに促進したことは事実だ。しかし、中国が台頭すると、この方式は難しくなった。
しかし、例えば王伝福氏には先を読む力があった。BYDは他の企業より20年も早くEVに本格着手した。BYDが2028年に制作した宣伝動画は「3つの70%」に言及した。「私たちの70%の石油は輸入に頼る」「輸入石油の70%はマラッカ海峡を通過する必要がある」「石油の70%は交通運輸業界で使われている」だ。王伝福氏をはじめとするBYDは、国であれ企業であれ、他人に「首を絞められる」ことは絶対にあってはならず、自主的にコントロールできることは持続的な発展に欠かせない保障であると考えてきた。だからこそ、新エネルギー分野を発展させることは必ず通らねばならない道と判断したのだ。
ファーウェイの発想も似ており、西側の技術を利用して迅速に市場を開拓してブランド力を確立したが、いつの日か強力な制裁を受けることを念頭に、バックアップを常に開発した。グーグルからの「締め出し」を被ってから速やかにハーモニーOSを出すことができたのも、事前に準備を進めてきたからだ。また、西側から5Gチップを購入できなくなったとなると、3年余りで急速に追い上げて、外から見れば不可能な状況で、独立自主的に5Gチップを生産するようになった。
王伝福と余承東の両氏ないしBYDとファーウェイは、中国で登場した「作るより買う、買うより借りる」という歴史のプロセスを転換させつつある存在だ。そして中国国内だけでなく、中国と米国の科学技術の勢力図を塗り替えつつある。中国の民間から、世界の構図の転換に直接関与する「風雲児」が出現したことになる。(翻訳・編集/如月隼人)
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