フライメディア 2024年1月24日(水) 6時30分
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上海では「泡飯」という日本でいうお茶漬けが朝食メニューとしてよく食べられる。
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中国の朝ごはんの定番メニューといえばおかゆで、消化が良いため胃腸に優しく、朝食にもってこいだ。一方で、上海では「泡飯」という日本でいうお茶漬けも朝食メニューとしてよく食べられる。
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作り方は簡単で、鍋に湯を沸かし、ご飯を入れて混ぜ、再び沸騰させる。表面に泡が立つまで煮て、1分ほどたったら火を消してできあがり。忙しい朝でもっと時間がない時は茶碗によそったご飯にあつあつのお湯をかけて混ぜてもよい。これで泡飯が完成。あまりに簡単すぎて申し訳ないくらいだ。
上海で泡飯が広く食べられるようになったルーツは1930年代にさかのぼるといわれる。上海はアジアでまれに見る一大商業都市で、浙江省や江蘇省から多くの労働者が出稼ぎに来ていた。出稼ぎ労働者の仕事は朝早くから始まるため、出勤に間に合うように最も手軽に食べられる泡飯が朝食の定番となり、市民に広まっていったという。
泡飯だけでは味がないため、おかずが必要となる。代表的なのは漬物類。腐乳(豆腐の麹漬け)、咸蛋(塩漬けアヒルの卵)などが定番だ。また、落花生とのりを炒めたものや油条(中華式揚げパン)など、さまざまなものがある。このほかにも、昨晩の残りのおかず、簡単な野菜炒めをさっと作って付け合せにすることも。前の晩のおかずと一緒に煮て、味付け泡飯にしたりもする。
今も昔もにぎやかな商業地の淮海路では、泡飯に合う漬物類を売る人気店がある。その名も「上海全国土特産食品商場」。上海のほか、中国各地の特産を販売している。
ある日、筆者が店内を見ていると、多くの人出がある売り場を発見し、客に尋ねてみたところ、「この店の漬物はとてもおいしいから、遠くから買いに来ている」と教えてくれた。
その売り場では漬物やタレを販売しているが、スーパーでよく見る瓶や袋にパックされたものではなく、量り売りスタイルを取っている。量り売りはかつて上海の街中で多く見られた販売方法だが、現在はほとんど見ることがない。この売り場では漬物だけでなく、ごま油や酢、醤油も販売されているが、それも量り売りだ。
泡飯に合わせるものの定番は「腐乳」だ。豆腐を麹で漬けたものだが、使う麹が紅麹か白麹かで紅白2種類ある。白い腐乳は「白腐乳」、赤い腐乳は「玫瑰腐乳」(玫瑰はバラの意味)と呼ばれる。「玫瑰腐乳」とはなんとも華麗な名前だ。この売り場でも当然取り扱っている。
腐乳から少し離れた一角にはピーナツやニンニク、大根や青菜を使った漬物各種が並んでいる。
この売り場で意外なものが売られていた。生姜片(生姜スライス)だ。日本人におなじみの寿司についている「ガリ」そのもの。もしやと思い購入して食べてみると、味もまさしくガリだった。筆者はあまりにガリが恋しくなり、過去に自作したことがあるが、今後はこちらで買う予定だ。上海で暮らしていてガリが恋しくなった方はここでを買うと良いだろう。
今回は紅白の腐乳を各5個(量り売りのためこんな注文もOK)とピーナツの漬物を購入した。泡飯をおいしく食べるおかずを入手したため、翌朝の朝食はもちろん泡飯だ。
小皿に盛られたこの日の泡飯の付け合わせは上から時計回りに腐乳、ピーナツの漬物、酔麩。腐乳は発酵食品で、麹を使っているため食べると酒の香りがする。豆腐は発酵が進み、湿ったチーズのような状態になっている。
腐乳は赤の方が値段が高いものの、個人的にはしょっぱめな味が引き立つ白腐乳の味の方が好きだ。ピーナツの漬物は甘味が強い甘じょっぱい味付けで、日本人の舌にも合う味だと思う。酔麩は麩を白酒と塩水をベースとしたタレに漬けたもので、食べると酒の香りがして、しょっぱくておいしい。この日もサラサラとおいしく泡飯を食べた。
日本人にはなじみのない食べ方の上海式お茶漬けの泡飯だが、一度食べるとその手軽さ、付け合わせと組み合わせる楽しさ、おいしさを発見することだろう。朝食は朝の活力源でぜひ食べたいがなかなか凝ったものは作れない…という人は泡飯を試してみてはいかがだろうか。(提供/フライメディア)
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