2024年1月23日、観察者網は、中国のレアアースバリューチェーンを逆転させようとしていると論じた香港メディアの報道を紹介する記事を掲載した。

記事は、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの22日付報道を引用。ある中国企業が先月、カナダで最初かつ唯一操業中のレアアース鉱山の全在庫と、鉱山プロジェクトを所有するオーストラリア企業バイタル・メタルズの株式9．9％をそれぞれ買収したことを伝え「これまで中国は、クリーンエネルギー分野のハイエンド製品の生産のために、しばしば安価な原材料を欧米に供給してきたが、西側諸国が中国への依存度を減らすために独自のレアアースサプライチェーン開拓を進める中で、中国はこれまでと逆に川上の製品を海外から輸入し、川下の付加価値製品を輸出するようになった」と評したことを伝えた。

そして、中国が川下加工における優位性を維持しようとしており、昨年12月に発表した「輸出禁止・制限技術リスト」ではレアアースの抽出・分離プロセス技術、レアアース金属・合金材料の生産技術、サマリウム・コバルト、ネオジム・鉄・ホウ素、セリウム磁石の調製技術、ホウ酸オキシカルシウムレアアースの調製技術などを輸出禁止項目に盛り込んだとした。

また、同紙が安価な労働力と低い生産コストが過去40年間の中国の急速な経済成長を牽引してきた一方で、最近では中国が製造業をより広範囲にアップグレードし、バリューチェーンを進化させようとしていると指摘したことを紹介。このプロセスはサプライチェーンの一部を中国から移転するという欧米諸国の主張によってますます加速し、レアアースだけでなく、さまざまな産業においてより付加価値の高い活動にアップグレードしようとしており、原材料や川上製品の生産をより付加価値の高い製品へと転換することは、中国の経済発展に多くの利益とメリットをもたらすと論じたことを伝えている。（翻訳・編集/川尻）