ファーウェイがアマゾンやAVMに勝訴、ドイツでのWi-Fi 6の知財関連の裁判

Record China    2024年2月1日(木) 8時0分

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ファーウェイはこのほど、AVMとアマゾンを相手にしたドイツのミュンヘン地方裁判所での裁判2件に勝訴した。いずれもWi-Fi 6関連の知的財産権絡みの裁判だった。写真はミュンヘン地方裁判所。

華為技術(ファーウェイ)はこのほど、ドイツで起こしていたAVMとアマゾンを相手にしたそれぞれの裁判で、いずれも勝訴した。Wi-Fi 6に利用した技術を巡る裁判で、ファーウェイは自らが知的財産を持つ技術について、許諾を得ずに利用することは認められないと主張していた。

知的財産権の独占はしない、ただし侵害されれば法的手段で対抗

ファーウェイはかねてから、自らが開発した技術であっても知的財産権を「独り占め」することは避けると表明してきた。そのための方法の一つが、複数の企業が開発技術を持ち寄って権利を一括管理の対象にするパテントプールの利用だ。Wi-Fi 6については、イタリアの知財管理会社のシズベルが2022年7月に設立を発表したSisvel Wi-Fi 6に、台湾の聯発科技(メディアテック)、オランダのフィリップス、韓国のSKテレコムなどと共に設立時メンバーとして加わった。シズベルは、Sisvel Wi-Fi 6の結成時点で、管理するライセンスの利用について、支払いなどで従来よりも好条件を設けることで、技術の普及の加速などを目指すと説明した。

Wi-Fi

Sisvel Wi-Fi 6は Wi-Fi 6関連で世界で最も存在感の大きなパテントプールとされている。なお、Sisvel Wi-Fi 6には現在までに、日本企業では三菱電機とパナソニックホールディングスがパテント・オーナー(知的財産権の提供者)として参加している。

ファーウェイは2022年にドイツの重要なルーターメーカーであるAVMを相手に、Wi-Fi 6関連特許を侵害されたとしてミュンヘン地方裁判所に訴訟を起こした。双方による交渉が不調だったため、ファーウェイは法的手段に訴えることにしたという。

ミュンヘン地方裁判所は2023年11月10日、AVMの関連製品の販売を差し止める判決を言い渡した。裁判所は、AVMには公正かつ合理的な条件でのライセンス契約を結ぶ考えはなかったと判断した。またファーウェイは、AVMはその後もライセンス契約を結ぶことに消極的だったとして、2023年12月29日付での判決の執行に踏み切った。すなわち、AVMはドイツ国内で関連製品を販売することができなくなった。ファーウェイはさらに、AVM側は判決の執行に従っていないとして、2024年1月付で裁判所に対して、AVMに対する罰則適用を申請した。

ミュンヘン地方裁判所はその後、ファーウェイがアマゾンを相手に起こした同様の訴訟でもファーウェイ側の言い分を認め、アマゾンに対して訴訟費用の全額を負担し、同社のWi-Fi関連の6製品の販売を差し止める判決を言い渡した。

ファーウェイは2023年には、米国企業を相手取り、中国国内の裁判所(山東省済南市中級人民法院)でも訴訟を起こしている。やはりWi-Fi 6の知的財産権についての訴訟だ。ただし、同裁判では技術関連についての聞き取りが複数回行われたが、判決には至っていない。

ドイツでの勝訴に「ファーウェイの運命が変わった」との評も

ファーウェイはこれまでもドイツで知的財産権絡みで訴訟を起こしたが、同社にとって満足できる結果を得ることができなかった。しかし、AVMとアマゾンを相手にした訴訟で勝訴したことで、英ロンドンに拠点を置いて知的財産権関連の情報を扱っているIMAは「AVMおよびアマゾンとの紛争の進展により、ドイツにおけるファーウェイの企業活動展開の運命が変わった」と表現して、Wi-Fi 6絡みの知的財産権などについてのファーウェイの立場が大いに強まる可能性を示唆した。

ファーウェイ製品

IMA によると、Sisvel Wi-Fi 6に関連しては、同パテントプールを通じて知的財産の使用を取得した企業が、別の企業を相手に、無許可でWi-Fi 6に必要な技術を使用していたとして、訴訟に踏み切った事例もある。

ある技術標準について、「その特許を使用しないとその技術標準を達成できない特許」は、標準必須特許(SEP)と呼ばれる。IMAが2023年12月15日付で発表した文章によると、Wi-Fi 6に関連するSEPの所有件数が世界で最も多いのはファーウェイで、約1400件のSEPがWi-Fi 6に関連するものという。

Wi-Fi 6は2024年現在、新たな普及が進んでいる規格であり、知的財産権を巡る争いは激烈になりつつあるとされる。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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