張燕波 2024年3月10日(日) 18時0分
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中国山東省の東部、青島市、煙台市、威海市がある膠東半島地区では毎年春になると大量のさわらが出回る。写真はさわら餃子。
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中国山東省の東部、青島市、煙台市、威海市がある膠東半島地区では毎年春になると大量のさわらが出回る。日本では煮たり焼いたり揚げたりして食べられるこの魚を膠東半島地区の人々は水餃子の餡に用いる。
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餃子はポピュラーな食べ物で、日本の飲食店では焼き餃子をよく目にする。その餡は豚肉に少量のキャベツを混ぜて作るのが一般的だ。一部の中華料理店で提供される水餃子はこれにエビが少し加えられる。だが、さわらを餡にした水餃子となると、通常、日本では出会えない。
膠東半島をめぐっては、秦の始皇帝が不老長寿の薬を求めて訪れたとの言い伝えがある。始皇帝は海の魚を非常に好んだが、魚の骨が苦手だった。こうした中、ある料理人は「魚の身をたたいて骨を取り除く」という大胆な方法を採用。力を込めてさわらをたたき、身の中から姿を見せた骨を素早く取り除いた。そして、その身を餡にして餃子を作った。この調理法は始皇帝に評価され、さわら餃子は流行し始めた――。これは一つの物語だが、さわら餃子を好む人々の気持ちを映し出している。
現在、膠東半島地区の家庭で作られるさわら餃子の大きさは日本の飲食店で出される餃子とほぼ同じだ。膠東半島でさわらは地域色豊かな美食になっているほか、青島市一帯では毎年春になると男性が妻の父親にさわらを贈る光景が見られる。春先、結婚を控えた男性は「一日も早く結婚できますように」との願いとともに、念入りに選んだ立派なさわらを未来の父親に届ける。そして、結婚後は夫婦そろって妻の実家に戻り、さわらを贈るのだ。
■筆者プロフィール:張燕波
中国山東省威海市出身。1998年に技能実習生として初めて日本へ。2000年から日本留学。06~12年にイオン九州に勤務。13~20年に神戸大学大学院修士課程、博士課程で日本の古典文学を研究。21年に帰国し、現在は山東省青島市の私立高校で日本語教師を務める。
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