フライメディア 2024年3月19日(火) 14時30分
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中国で公開されたドラマ「繁花」が上海人の間で大きな話題となった。
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中国で昨年12月にドラマ「繁花」が公開された。上海出身の作家・金宇澄の同名の原作を香港のウォン・カーウァイ(王家衛)監督が3年かけて撮影した力作だ。ドラマは2週間で全30話が放送され、上海人の間で大きな話題となった。
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話題となった理由は、まず登場人物の多くが上海語で話したこと。原作でも上海語が使用されているが、全国的にテレビ放送されるドラマでは、多くは「普通語」と呼ばれる中国語共通語を用いて製作されることがほとんど。上海語は上海で話されるマイナー方言のため、上海語の全国区のドラマは皆無だった。「繁花」では上海語を話す俳優(上海のネットの有名人や昔活躍したスポーツ選手も登場!)を多く起用し、せりふは一部の登場人物を除き上海語ばかりだった(ドラマの中国語標準語バージョンもある)。
そして、1990年代の「ちょっと前の」上海が舞台であったことも話題となった。上海証券取引所が設立され、経済が上向きになって来た頃の活力がある時代、今のようなスマートフォンやインターネットがないちょっと不便な時代への郷愁を視聴者に感じさせたのだろう。ドラマの中で街の風景が登場すると、その時代の上海を生きてきた世代はとても懐かしさを覚えたという。
すでに最終話の放送は終了したが、それでも「繁花」熱はとどまるところを知らず、ドラマに登場したスポットを巡ることが今の上海でブームになっている。まず、ドラマ登場スポットで最も訪問者が多いのが「黄河路」。こちらは1990年代初めにグルメストリートとして開発され、沿道に多くのレストランが立ち並び、毎日食事をする人でにぎわい(接待向きのお店が多かった)、盛況なエリアだった。かつてきらびやかな黄河路のレストランで贅を尽くした食材を使った料理で客人を接待し、商売の契約を勝ち取ることは一種のステータスだったという。
現在の黄河路にはかつてのにぎわいはもうなくなっている。1997年の終わりにアジア経済危機のあおりを受け、多くの企業が経営危機に陥り、株価も低迷したことから、接待できる余裕がなくなり、黄河路のレストランにも影響が及んだ。その後、2002年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行でさらに打撃を受け、かつての高級店はより手頃な価格帯に業態変更したり店じまいとなった。今回の「繁花」ブームで注目される前は、沿道に多く飲食店がある、人通りはそれほど多くない場所だった。
まずは今の黄河路の様子から紹介する。人民広場側から黄河路に来ると、まず行列が目に入る。
1934年に開業した国際飯店の1階で販売されている「蝴蝶酥(蝶パイ)」を買い求める列だ。数ある上海の老舗が販売する蝴蝶酥の中でも、国際ホテルで売られているものが最もおいしいと評判だ。いつも長蛇の列だが、黄河路を訪れる人が増えた影響で、最近はさらに列が長くなっている。
黄河路で最も注目を浴びているスポットが「苔聖園」だ。
ドラマの重要人物が開店している、黄河路で最も華やかで高級なレストラン「至真園」のモデルになった店で、写真撮影などのため連日多くの人が訪れている。あまりの人出に警察官が交通整理に当たっている。
黄河路を北上すると、「粤味餐庁(広東料理レストラン)」がある。唯一ドラマ内で同名のレストランとして登場するため、店の前には写真を撮る人が多く集まっている。
また、黄河路ではないが、主人公や重要人物が住む設定の「和平飯店」も人気スポットとなっている。1929年に上海一の英国人富豪だったビクター・サスーンが建造。外灘の歴史的建築群の中でもひときわ目を引く三角の緑屋根はサスーンの住まいだった。現在、1階ホールで「繁花」の展示が行われている。黄河路からも歩ける位置にあるので、散策がてら行くとよいだろう。
ドラマで重要人物が開店する食堂がある「進賢路」にも多くの人が訪れている。
また、それに派生してドラマで主人公が食べていたメニューにも注目が集まっている。その一つが「泡飯(湯漬け)」だ。主人公が「泡飯」を食べているシーンが多用されたことから、主人公の名前をとって「宝総泡飯(宝社長の湯漬け)」と命名され、その名称のメニューを提供する店まで現れた。きれいめな器に漬物など数種を盛り付けた簡単なものではあるが。
もう一つの注目メニューは「排骨年糕(スペアリブと餅)」。ドラマの中で主人公や重要人物がこの料理を食べるシーンがあり、話題となった。上海市民に愛されている料理で、豚のスペアリブを揚げ、餅(韓国のトッポギ風)を添え、ソースをかけて食べる。
「繁花」で大盛り上がりの上海。その人気にあやかり、「繁花」メニューを打ち出す店が増えている。ドラマのストーリーとはあまり関係ないが、筆者は「繁花」にちなんだコーヒーをカフェで見たことがある。ドラマ版の放送は終了したが、今後は映画版も公開予定とのことなので、今後まだしばらくブームは続くだろう。(提供/フライメディア)
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