人民網日本語版 2024年4月3日(水) 20時30分
拡大
中国のインターネット動画ユーザーの規模は10億人を超えた。
統計によると、2023年12月末現在、中国のインターネット動画ユーザーの規模は10億人を超えており、そのうち超短編動画のショートドラマの市場規模は300億元(約6兆円)を超え、1日当たりの課金額は6000万元(約12億円)に達した。今年の市場規模はさらに大幅に拡大することが予想される。
人々が動画を喜んで消費するのはなぜか。ショートドラマはなぜこれほど人気なのか。これからどうなるのか。
少し前にショートドラマ研究プラットフォームのDataEye(データアイ)が発表した報告の中で、「ショートドラマの市場規模は23年の373億9000万元から24年は500億元へと大幅増加し、27年は1000億元を超えることが予想される。海外の市場規模は昨年におよそ1億7000万ドルに達しており、今年は10億ドル、来年は30億ドル、再来年は50億ドルを超える見込みだ」とした。
中国人民大学の何天平(ホー・ティエンピン)准教授(視聴発信・メディア社会学、修士課程指導教員)は、「ショートドラマに熱中する視聴者の一部は『無意識的に』これを受け入れている」と指摘する。
何氏は、「人々は視聴するコンテンツに対して旺盛な消費意欲があるが、既存の市場の映画・テレビドラマでは彼らの嗜好を満足させられない。この一部の視聴者は映画・テレビドラマを芸術作品とは考えておらず、暮らしの中の潤滑油とか、一種の娯楽やレジャーだと考えている。このような状況の中、無自覚に刺激によって快感や爽快感が得られるコンテンツに心を奪われるようになり、ますます深くはまっていくようになる」との見方を示した。
中国社会科学院世界メディア研究所の冷凇(ロン・ソン)事務局長(研究員、国家ラジオ・テレビ総局新メディア連盟シンクタンク専門家)は、「ここ数年のショートドラマは2種類のコンテンツがとりわけ人気だ。一つは洗練されたセレモニー感のあるもの、もう一つは暮らしのぬくもりにあふれたものだ。言い換えれば、自然と人間に関する題材が最大の注目点だということだ」と述べた。
冷氏は、「ショートドラマは高度に凝縮され、短い時間にドラマの緊張感や葛藤を際立たせ、サスペンス感を醸し出す必要があり、脚本家には高い要求が課せられる。若者が好むショートドラマの根底に横たわる中核的な論理は『反逆精神』であり、人気のショートドラマの背後には必ず『反逆精神に富んだ人物』がいる」と続けた。
北京点衆科技の陳瑞卿(チェン・ルイチン)会長は、「ショートドラマ業界には今年中に必ず大きな再編が起こる」とした上で、「この業界の発展を考えると、創造力に富む優良コンテンツを擁する企業は市場で生き残れるだろう」との見方を示した。
陳氏によれば、ショートドラマにはまだ多くのイノベーションの可能性がある。これまでのショートドラマはネット文学を動画化する場合の重要な表現手段で、ネット文学には80を超えるジャンルがあるが、ショートドラマでこれまでに開発されたのは10数ジャンルにとどまり、残りの60以上のジャンルはまだ手つかずだという。
しかし業界が発展するには、多くの優れた人材が必ず必要になる。陳氏は、「一部の985大学(中国政府が重点的に建設を進める「985プロジェクト」の対象となった全国の重点大学)を卒業した学生がこの世界に入ってコンテンツ制作を担当し、演技力が高い人が出演すれば、必ず真の傑作が生み出されるだろう」との見方を示した。
また陳氏は、「現在の制作者は文化観光、ブランド、教育などの面におけるショートドラマを模索するなど、多くの試みを行っている。点衆の春節(旧正月、今年は2月10日)連休期間に打ち出したショートドラマ『竜年大吉』を例にすれば、これは中国の春節のストーリーを描いたもので、翻訳されて海外でもリリースされ、ビジネスは非常に好調だ」と述べた。
重慶麦芽伝媒の何雲長(ホー・ユンチャン)会長は、「優良なコンテンツには生命力がある。リアルタイム性の感情的な価値が人々の精神的ニーズを満足させる。しかしこの業界には視聴者が考えさせられるようなより深みのあるコンテンツが必要で、そうして初めて、より遠くまで長く走り続けることができる」と指摘した。
何氏は、「将来のショートドラマは優良作品になるはずだ」とし、この見方は九州文化の汪家城会長の考え方とも一致する。汪氏は、「現在はストーリーや題材の均質化が深刻で、誰もがアクセス数のアルゴリズムから抜け出せていない。よくあるパターンは、最初の10回でドラマをクライマックスまで盛り上げてしまうようにして初めて十分な課金率、クリック率が稼げるようになる。さもなければ、視聴者は見ようとしないため、最終的にはすべてのストーリーがいくつかの決まったターンに陥る。今は視聴者が見たこともないような作品を作る必要がある。今見ている作品は最初の1分でこれから何が起こるかわかるようなものばかりで、こうしたコンテンツは今後、必ず淘汰されるだろう」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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