低価格の中国産食品が急速に韓国の食卓に進出している、と韓国紙が報じた。品目はキムチ、キャベツ、パン、ラーメン、麻辣ソース、コメ菓子など多岐にわたる。キムチをめぐっては衛生上の問題が発覚し輸入量が一時減少したが、その後は回復した。

中央日報によると、韓国関税庁が5日に発表した輸出入貿易統計で中国産キムチは2023年、28万6545トンを記録した。21年に男性が裸で大きな水槽に入ってハクサイを塩漬けにする様子を収録した現地の映像が拡散した後、輸入量は24万606トンまで低下したが、韓国でキムチの原材料価格が上昇すると22年は26万3434トンに増加した。

農産物・加工食品の輸入も増加している。例えば最近、価格が急騰しているキャベツは3月に中国から657トンが輸入された。前年同月（243トン）に比べ約170％の増加となる。全国4地域で食材スーパーを運営している経営者は「中国産キャベツの価格は国産の60％水準で安い。価格競争力のためには中国産農産物を使用する以外にない」と話した。

昨年、中国産パンの輸入量は3133トンで統計が始まった00年以降、歴代最高となった。中国産ラーメンも昨年、1984トンを記録して歴代最多が輸入された。これらは一部の食材マートや無人ショップ、地域の市場などで販売されている。

10、20代を中心に麻辣湯など中国料理・菓子に対する需要が増えた点も影響を及ぼした。実際、麻辣湯・火鍋などの関連ソースおよび混合調味料の輸入量は昨年、歴代最大の8万250トンに上った。19年と比べると約22％増加した。コメ菓子の輸入量は昨年、5754トンで1年前に比べて40．4％増えた。

一方で中国産食品の安全性問題は依然と俎上（そじょう）に載せられている。今年、中国産ニンジンから基準値の5倍を越える残留農薬が検出されて回収措置が取られたほか、中国産月餅製品にタワシが混入していて摘発された。昨年は中国産ミニカステラに使用されていた防腐剤が基準値の73倍を超えていて回収された。

淑明女子大学経営学部のソ・ヨング教授は「物価上昇率に比べて国民可処分所得が伸び悩んで購買力が低下すると超格安製品である『MADE IN CHINA』に対するニーズが高まった」と指摘。「自由市場経済で購入自体を阻止することは難しいため、当面は不良品や有害製品が混ざらないように政府がモニタリングを強化しなければならない」と注意を喚起した。仁荷大学消費者学科のイ・ウンヒ教授も同様に「流通で安全問題がないか、政府の監視の網の目をもっと狭くしなくてはならない」と強調した。（編集/日向）