亜洲週刊 2024年5月26日(日) 10時0分
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香港誌の亜洲週刊はこのほど、毛峰東京支局長が「言論NPO」の工藤泰志代表(写真)へのインタビューを紹介する記事を発表した。工藤代表は、日中は民間対話により「官を促す」ことが急務などと主張した。
香港誌の亜洲週刊はこのほど、毛峰東京支局長が17日に民間シンクタンク「言論NPO」の工藤泰志代表と行った単独インタビューを紹介する記事を発表した。工藤氏は「金融ビジネス論争」や「東洋経済」の編集長などを歴任し、2001年11月に特定非営利活動法人言論NPOを立ち上げて代表に就任した。言論NPOは、世界の分断をこれ以上悪化させず、アジアで紛争を起こさないこと、さらに日本や世界が抱える課題を市民ひとりひとりが考え、解決に向けて動き出すことができる社会を目指して活動しているという。以下は、亜洲週刊記事の主要部分の日本語訳だ。
工藤泰志代表は、世界はロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナの二つの戦争の重大な危機に直面しており、アジアにも不安定な状態が存在し、日中関係にもかつてない対立と対抗がエスカレートする危険が現れつつあると述べた。さらに、日中国交正常化にともなう条約では、日中ともに東アジアの平和と繁栄を守ることを厳かに約束しているが、現実には政府間の対話はほとんど行われておらず、ましてやこの約束を積極的に実行にする責任を取ってはいないとして、日本と中国は民間対話の大きな流れを作り、民で官を促し、不信と抑止を解消することが急務と主張した。
工藤代表が設立した「言論NPO」には、日本の政治・外交、軍事・経済、メディア・文化などの各方面からベテラン専門家が集まっている。「言論NPO」は日中国交回復後に初めて深刻な政治的衝突が生じた2005年に、中国側と提携して「東京-北京フォーラム」を創設した。同フォーラムは日本と中国で毎年交互に開催され、日中の関係専門家や研究者が二国間関係、外交・経済・貿易、安全保障、メディア文化などについて率直な対話を繰り広げて提言や献策を行っている。また、言論NPOは中国側メディアと共同で、日中両国で同じ質問に対する回答を求める世論調査を初めて創設し、日中の民意や世情を反映する世界で唯一の権威ある調査に育てた。言論NPOによる日中問題について、他に例を見ない「長期にわたるブレない取り組み」を続けていると言える。
工藤代表は亜洲週刊に対して、第20回目になる今年の東京-北京フォーラムはすでに準備作業を始めていると説明。12月3日から5日にかけて東京で開催される予定という。工藤代表は、北京で昨年に開催された第19回フォーラムの最大の成果について「相互協力の決意をさらに強固にするとともに、フォーラムの視点を日中間に限らない東アジア地域、さらには国際範囲に広げたこと」と述べた。中国の呉江浩駐日大使は最近になり、言論NPOが中国側と「東京-北京フォーラム」を共同開催して今年で20年目であることをきっかけに、フォーラムの将来の発展方向を考え、両国の民意の改善を導き、両国各界の中日関係に関する協議と意見の権威ある拠り所になることを希望すると表明したという。
工藤代表は亜洲週刊に対して、昨年の同フォーラムで発表された日中世論調査で、日中両国の互いに対する好感度が再び悪化傾向にあったことに言及し、「日中のメディアは日中民間の互いの好感度の悪化に注目した」と述べた上で、同様に注目しなければならないのは、日中の民間による両国関係に対する重要性の認識と指摘した。調査結果で、日本国民は中国を米国に次ぐ2番目に重要な国と考えており、中国国民は日本ををロシア、米国に次ぐ3番目に大切な国と考えていることが分かったからだ。日本人の回答者の中で、対中関係が重要との考えを示した人は65.1%で、中国人回答者で対日関係が重要との考えを示した人は60.2%でだった。すなわち、双方とも6割以上の人が相手国との関係を重要と認識している。
工藤代表は、日中両国の国民の認識は、戦争の阻止、核戦争発生の懸念、世界平和の維持、民間交流の増進についてもかなり近いと紹介し、問題は両国政府が正常で率直な対話をしていないことと指摘。日中両政府は未来に向けて責任を果たさなければならないと論じた上で、そのためには民間の直接交流と直接対話をさらに行い、「民をもって官を促す」ことで、日中両国政府が両国の民意を真剣に受け止めさせることが非常に重要と論じた。
工藤代表はさらに、建設的で安定した日中関係の構築には環境改善が必要と率直に語り、さらに日本の経済界は日中経済が手を携えて協力することを望んでおり、日中はデジタル化、気候温暖化への対応、グリーンとエコ、高齢化社会への対応などの分野で協力を拡大する双方向のニーズがあると論じた。工藤代表は中国が反スパイ法を制定して施行したことにも触れ、同法には明確でない部分もあり、日本の経済界を混乱させ、中国に行くことをためらわせていると紹介し、このような傾向と状態では、日中双方の力強い経済協力を構築することは困難と主張した。さらに、日本は経済安全保障推進法を施行したと指摘し、世界のルールを堅持した国際的なビジネスと、より自由な貿易を容易にすることが求められるとの考えを示した。(翻訳・編集/如月隼人)
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