日本の観光客誘致を見習うべき、アフターコロナは観光で日中民間交流を

和華    2024年6月22日(土) 16時0分

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観光はまさしく日中両国の民間交流を促進する重要なチャンネルと位置付けられる。写真は「ツーリズムEXPO ジャパン2022」。

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日本と中国は地理的に近く、文化的な交流も深い。新型コロナウイルス感染症の世界大流行が起こる前の2019年は、日中両国の双方向の人民交流の規模は拡大していた。観光はまさしく日中両国の民間交流を促進する重要なチャンネルと位置付けられる。近年、新型コロナウイルス感染症の影響で観光交流は大きな打撃を受けたが、アフターコロナでは日中間の交流は徐々に復活することが見込まれる。今回は中国駐東京観光代表処首席代表の欧陽安氏に今後の日中間観光交流についての考えと展望を伺った。

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■中国における外国人を呼び込むための国策にはどのようなものがありますか?

中国は常に国際社会との観光交流・協力を重視しています。2022年1月に国務院が発表した「第14次五カ年計画文化・観光発展計画」には、2025年までに旅行業界のレベルを絶えず発展させ、現代観光システムをより健全かつ有効的で高品質、柔軟で豊富な供給を実現し、より多くの観光客のニーズを満たしていくことが記されています。中国国内の旅行を発展させていくと同時に、インバウンドアウトバウンド観光を秩序を持って推進し、中国旅行の国際的影響力、競争力を強めていき、旅行強国建設に向けて大きく発展していきたいと考えています。またこの発展計画では、正しく段階的にインバウンド観光を促進させ、アウトバウンド観光に関しても着実に発展させ、香港・マカオ・台湾地区との協力を強化し、観光に関する国際協力を深めていくとの方針が示されています。中国は文化の多様性と社会的価値の相互尊重を基礎とした主要国間の観光協力の強化と観光市場、商品、情報、サービス基準に関する近隣諸国との交流を推進するため、われわれのような中国駐海外観光代表処は海外に事務所を設け、中国の悠久で独特な文化や豊かな観光資源を広めるために日々動いています。

万里の長城

■中国駐東京観光代表処の主な業務について教えてください。

当代表処は1981年に中国文化観光部(元中国国家観光局)が日中間の文化と観光交流と協力のために東京の常設事務所として設立したものです。日本との観光交流、メディア取材協力や中国への取材招聘などのFAM(視察)ツアー企画、日本人向けの各種中国プロモーション資料の提供、中国各省・自治区・直轄市と協力して行うプロモーション活動の実施、日本の観光業界関係者の招聘による中国観光旅程の開発、旅行市場の調査などを行っています。

23年1月の「上野パンダ春節祭」

2022年には合計で25回イベントを企画・参加しました。主催イベントとしては「美しい中国-日本のキャンパスへ行こう」旅行推進会、「中日青少年修学旅行説明会」、「中国シルクロード旅行説明会」、「中国世界遺産旅行説明会」などがあります。また、日本各地で開催される旅行EXPOや中国文化を発信するイベントにも出展し、東京で開催された「ツーリズムEXPOジャパン2022」、北海道で開催された「世界の旅フェスタ」、横浜で開催された「お城EXPO2022」などにも参加しました。2023年には「氷雪の中国」、「中国教育旅行説明会」を主催し、「第17回名古屋中国春節祭」、「上野パンダ春節祭」にも参加しました。

また、日本の方々に訪中旅行をしてもらえるよう、広告やSNSなどのニューメディアを活用し、中国の豊かな歴史や独特の文化・観光資源を、オンライン・オフラインを通して発信・紹介しています。自分の目で実際の中国を見てほしいと思います。

「上野パンダ春節祭」に参加する欧陽代表

■日中間の人的交流や往来数はどのように評価されますか?

新型コロナウイルス感染症流行前の2019年には、日本を訪れた中国人の数は1000万人近くに達しました。これはもちろん日中間の地理的・文化的な近さ、そして日本の高品質で人文的な観光環境、観光支援サービスおよび日本政府が観光に向けて実施している積極的な取り組みなどが要因に挙げられます。一方、中国文化と観光部の発表によると、2019年の訪中日本人旅行者数は約268万人でした。訪中日本人旅行者数は、2007年の398万人をピークに、2013年以降は250万人前後で安定しています。

日中間の往来者数は合計で1200万人以上と非常に多く、両国の人的交流が活発に行われていることを示しています。一方、中国を訪れる日本人が少ない理由はさまざまでしょうが、本来中国と日本では人口が10倍以上違うので、単純に観光客の数で比較する必要はないと思います。最近の中国では観光インフラやサービスが大幅に改善され、中国の各地方政府が海外からの観光客を誘致するため、さまざまな優遇政策を導入しています。アフターコロナでは両国の観光往来がより促進されることが期待されており、観光業の将来は非常に有望であると考えています。

■海外からの観光客誘致に向けたインバウンド推進について、日本から見習うべき点は何だと思われますか?

日本の国策である「観光立国」が提言された後、日本政府は毎年数多くの関連する優遇政策を導入し、全都道府県を巻き込みながら、観光インフラやサービスの充実に一丸となって取り組んでいます。このように、政府から地方自治体まで一貫して「観光立国」の国策や取り組みを徹底している点に関しては、私は見習うべきだと考えます。例えば、インフラサービスの充実という点では、国が都道府県に補助金を出すだけでなく、企業や個人に直接補助金を出すことで、より多くの人を動員することができます。新型コロナウイルス流行後、外国人のインバウンド観光が困難になると、政府は観光活性化のために「Go To トラベル」、「全国旅行支援」などの政策を導入し、自国民の旅行を推奨しました。これらの取り組みを通して、日本国内の旅行業界は迅速に回復し、活気を取り戻すことができたと思います。

■アフターコロナでは、日中の観光はどのように発展していくと予想されますか?

新型コロナウイルス感染症における水際対策が緩和され、日本は2022年10月に入国制限を解除、中国は2023年1月初旬から徐々に出入国旅行の再開を始めました。中国と日本においては、これからの出入国を含む観光業は引き続き成長していくと考えています。コロナ禍において旅行業界でも多くの最新観光形態が生まれ、人々の観光に対する意識も変化しています。テーマ旅行、個人旅行、家族旅行、ディープ旅行などが今後の観光トレンドになることが予測されており、旅行会社もこれまでの観光モデルに固執しているだけでは、多様化する顧客ニーズに応えることは難しいかもしれません。私たち代表処も、時代の変化に合わせて、新たな観光広報のあり方を模索していこうと考えています。

■日中間の青少年交流を促進するために、中国駐東京観光代表処が行っている取り組みについて教えてください。

中国は一貫して日中両国の青少年交流を重要視しています。青少年は国や民族の希望であり、両国関係の未来と友好の使命を担う貴重な人材です。新型コロナウイルス感染症流行前は、日中両国の青少年研修旅行や訪問団が数多く組織されており、これらのツアーや訪問を通して、青少年の相互理解を効果的に促進しました。日本の若者が参加した中国研修旅行や訪中団では、万里の長城や紫禁城、兵馬俑などの観光名所を訪問して、中国の素晴らしい古代文化や悠久の歴史を学んでもらうだけでなく、近年はファーウェイアリババテンセントなどのハイテク企業の訪問や、中国の高速鉄道に乗車することで発展著しい現代中国の姿を見てもらうようアレンジしています。

私たち代表処も日本国内で日中両国の青少年を対象としたイベントをいくつか企画しています。例えば、2022年6月、日中国交正常化50周年を記念して、山梨県甲斐市で「2022年美麗郷村・中日青少年ファンラン大会」を開催しました。「マラソン+旅行+文化体験」をテーマに企画した本イベントでは、地元山梨県の高校生や留学生など100人以上が参加し、緑あふれる山道を走りながら、相互理解、友好関係を深めました。

2022年美麗郷村・中日青少年ファンラン大会

2022年12月には、日本の青少年を対象とした観光促進イベント「美しい中国-日本のキャンパスへ行こう」も開催しました。このイベントも日中青少年の相互交流を発展させるための新しい模索と試みでした。中国の豊かな文化、観光資源と成長著しい中国の経済発展を、写真や動画などを通して参加した日本の青少年にPRしました。対面会場以外にも、(ウェブ会議ソフトの)ズームでも同時配信を行い、合計で400人以上の方が本イベントに参加しました。多くの学生からは「将来中国を訪問したい、留学したい」などの声も聞きました。今後は日本の大学や専門学校にも数多く出向き、青少年を対象とした観光プロモーション活動を行う予定です。

「美しい中国・日本のキャンパスへ行こう」イベント

このような活動を通じて、日本の若者が中国を知る機会を増やし、中国への関心と興味を高め、リアルな中国を感じてもらえればと思います。青少年の心に日中友好の種をまき、日中友好の旗印が代々受け継がれていくことを切に願っています。(提供/日中文化交流誌「和華」・編集/藤井)

【欧陽安氏プロフィール】


1975年生まれ、江西省出身。2001年に中国文化部(現・中国文化観光部)入省。中国駐日本国大使館文化部で2度の勤務経験あり。22年3月に中国駐東京観光代表処首席代表に就任。

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。

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