考古学専攻に注目集まる、学費は免除、入学すれば就職先も決まる?―中国

人民網日本語版    2024年7月1日(月) 11時30分

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中国の一部の地域では、考古学専攻として入学すれば卒業後確実に就職でき、しかも政府系事業機関に正規雇用採用されるようにする動きがある。

中国大学統一入学試験(通称「高考」)の成績が各省・自治区・直轄市で相次いで発表され、志望する大学や専攻の選択も間ももなく始まる(中国の大学入試では、統一試験の成績が出てから志望大学と専攻を決める)。今年は一部の省区市で、考古学専攻として入学すれば卒業後確実に就職でき、しかも政府系事業機関に正規雇用採用されるようにする動きがある。中央テレビ網が伝えた。

山東省、山西省、陝西省などでは、「文化財関連学部」の学生を対象にあらかじめ就職先を文化財関連の事業機関に特定した特別募集計画を発表し、考古学専攻の学生を育てることを目指している。山東省の「文化財関連学部人材」特別育成計画では、今年は第一陣として60人を募集する。これに応じる学生は入学に際して、卒業後に省内の市・県・区レベルの事業機関に就職して5年以上働くという特別育成合意書に署名する必要があるが、その代わり学費と寮費が免除される。

では、考古学では何を学ぶのか。どのように学ぶのか。

考古学の学部段階の教育では、大学の共通科目を学ぶほか、必修科目として時代順に▽旧石器時代▽新石器時代▽夏・殷・周▽戦国・秦・漢▽魏・晋・隋・唐▽宋・元・明・清というように、大きく分けて六つの時代の基礎的な知識を学ぶことが中心になる。このほか自然人類学(形質人類学)、動物・植物考古学、環境考古学なども履修できる。

教室での座学のほか、考古学ではフィールドワークが非常に重視される。例えば、吉林大学は山西省運城市夏県にフィールド考古学実践教育拠点を設置している。同大の学生はここに来て夏、秋、冬の三つの季節を過ごし、探査、調査、発掘、測量製図、デジタル模型制作、遺物の修復、発掘報告書の作成など考古学の全プロセスにわたる厳格な訓練を受けることになる。

現在の考古学は、必ずしも太陽の照りつける中で土を掘り起こし砂を払うということではなく、テクノロジー感に満ちた部分もある。文化財にも「医者」が必要で、出土した後は補強や処理が必要になる。最近出土したばかりの漢時代の木簡を例にすると、一見すると単なる土の塊のようだったが、技術処理を施して観察すると、表面には文字がびっしりと書かれていたことが分かった。中国社会科学院考古研究所の劉勇アシスタント研究員は、「『手持ち式後方散乱サーモグラフィー』という素晴らしい装置があり、遺跡で発見された物を傷つけずに探査ができ、下層の土を掘り起こす必要もない。下層に埋まっている埋蔵物を可視化することができ、出土物をさらに整理し保護する上で判断材料になる。傷を付けずに繊細な出土物を復元するにはどうすればよいか。腐食性物質に覆われた印章をどうやって識別するか。これは歴史の中で謎解きをしているようなもので、本当に面白い」と語った。

ただ、色覚異常のある受験生は考古学にはあまり適さないという点には留意する必要がある。考古学的調査やフィールドでの発掘作業において、地層の中の重要な考古学的情報を見逃してしまう可能性があるからだ。

考古学は歴史学のカテゴリーに入る学問だ。考古学と密接な関係があるのは、文化財・博物館学、文化財保護技術、古文書学などの専攻だ。中国には、学部に考古学専攻が設置された大学は西北大学をはじめ20数校、文化財・博物館学専攻が設置された大学は蘭州大学をはじめ30数校ある。考古学は文系の受験生も理系の受験生も志望できる。文化財・博物館学専攻の卒業生の主な就職先は、政府の文化財管理・研究機関、各種の博物館や陳列展示事業機関、文化財・芸術品経営機関、文化クリエーティブ産業などだ。

中国社会科学院考古研究所先史考古学研究室の彭小軍(ポン・シャオジュン)副室長は考古学の魅力について、「考古学を学ぶと、毎日が解けない謎で満ちるようになる。鋭く見分ける力が必要だし、地面から土を掘り起こし、わずかな手がかりを元に精密な分析を重ね、一歩ずつ自分の仮説を証明していかなければならない。この出土物はどうしてここにあったのか、昔の人はなぜこれをここに埋めたのか、こうしたことを考えるプロセスは未知のものを探るスリルにあふれている。考古学を志す私たちのような者はさながらタイムトラベラーのように、大地という『無言の書物』のページをめくり、古代の人と対話し、彼らの暮らしのあらゆる方面を発見し、歴史の真相に限りなく近づいていく」と語った。

ただ、彭副室長は「考古学を志望するなら、極めて強い忍耐力が必要だ。自分が考古学を学び始めた頃は、とてもわくわくして、何かすごいものを掘り出したいといつも考えていた。でも、最初の数年間はとりたてて進展もなく、がっくりとして自信を失うこともあった。そんな時、私の先生は『真剣に思考を重ねれば、小さな遺跡が全く違ったものに見えてくるはずだ』というアドバイスをくれた」とも語っている。

劉研究員は「私たちの作業する場所には、明るくて清潔な研究室やテクノロジー感に満ちた実験室だけでなく、実際の考古学的発掘現場もある。その現場は草原や森林、広大な花畑かもしれないし、砂漠の中や川のほとり、海の底かもしれない。もしあなたが苦労や疲労をいとわず、歴史を心から愛し、中華文明の源の探求に少しでも貢献したいと思うのであれば、私たちと一緒にやろう!」と語った。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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