<日本人が見た中国>どうして中国人は一列に並べないのか、そのワケは?

Record China    2014年9月16日(火) 7時37分

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中国でトイレに行くと、一列に並ぶ習慣が浸透しない。理由は中国人の車の運転の仕方を見ればわかる。絶え間ない車線変更は少しでも遅れることは負けという中国人の考え方そのもの。目先の利益が最優先なのだ。

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夏休みにタイに行ってきた。タイに行くと、ホッとする。空港や大型スーパーのトイレで一列に並ぶのが定着しているから、安心して並んでいられるのだ。これが中国なら安心なんてしていられない。いつ列が崩れるか、ドキドキもんだ。中国って、本当にトイレで一列に並ぶのが定着しない。たまに一列に並んでいても、後から入ってきた40代後半以降のおばさんが「あんたたち、いったい何、変な並び方してんのよ」みたいな態度で堂々と、並んでいる人たちを無視して、ドアの前に立つ。すると、同調する人が現れ、今までちゃんと一列に並んでいたのが、崩れてしまうのだ。

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以前、上海浦東国際空港の女子トイレで一列に並んでいたことがあった。次はいよいよ私の番という時だった。ここは化粧室の一番奥の正面つきあたりに大きな鏡があり、その両脇にトイレが並んでいるタイプだった。ひとりのおばさんがその鏡を見るふりをして、先頭まで出てきた。私は「このおばさん、順番抜かす気だ」と思っていた。おばさんは鏡の前で髪を直しながら、トイレのドアが開くと、入ろうとする。「私たち、並んでいるんですけど」と注意すると、おばさんが大声で私をののしった。逆ギレされたのだ。

いったいなぜ、中国のおばさんは一列に並べないのだろう。おばさんは水を流す音、ドアの下から見える影の動きなどで、どこが早く空きそうか予想し、早く空きそうなドアの前に移動し続けている。

中国人がどうしてトイレで一列に並べないかは車の運転を見ているとよくわかる。市内バスで中国の一般道路や長距離バスで中国の高速道路を走ったことがある人にはおなじみの光景だが、その光景は初めて見る日本人には衝撃だ。中国人は車を運転している間中、狂ったように車線変更をしている。ほんのわずかでも隣の車線が早く進みそうだと思ったら、即、車線変更。日本人の私は「そんなに差はないよ。車線変更のしすぎがひどい渋滞に拍車をかけているのに」と思ってしまう。

とにかく厳しい競争社会の中国では少しでも遅れることは負け。だから、わずかな差しかなくても車線変更をするのは当たり前。そのわずかな差が大きな負けにつながる危険があると思っている。トイレだってそう。一列に並ぶよりは自分がドアの前にたち、水を流す音や影の動きから判断するほうが、確実で安心できるのだ。

若い世代の中国人は一列に並ぶことができる。子供の頃から豊かな中国を享受してきた若い世代は、少し先の利益を見る余裕がある。今の豊かな時代を築いた40代、50代の中国人は、少しでも遅れることは負けの社会を生きてきた。今、目の前にある利益を掴むことを最優先する。中国に一列に並ぶ習慣が定着する日はまだ、しばらくかかるに違いない。

■筆者プロフィール:浜井幸子(はまい・さちこ)

1966年神戸市生まれ。19才の時、初めての海外旅行で行った中国の魅力にはまり、90年代の中国をバックパック旅行する。その後、中国やアジアの食を中心に書くライターとして活動中。著書に「中国おもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」など。

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