Record China 2014年12月12日(金) 14時19分
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11日、出版界では数年前から、中華民国時代の子供の教材が流行している。確かに当時の教材の一部はわかりやすく、子供に愛されそうな要素もある。
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2014年12月11日、出版界では数年前から、中華民国時代の子供の教材が流行している。確かに当時の教材の一部はわかりやすく、子供に愛されそうな要素もある。だが資料をあたると、これらの教材には当時、幼稚で内容がないとの批判もあり、現在のように手放しで評価されていたわけではないことがわかる。さて現在、子供にとっては「動く教材」の役割も果たしているのがテレビで流れるアニメである。その内容をいかに評価するか。
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北京テレビ開催のあるシンポジウムで、「アニメは歴史をおろそかにしすぎだ」との問題を指摘した教授がいた。例えば、人気アニメ「NARUTO-ナルト-」や「ONE PIECE」は、どの人物も歴史的な背景が不明確で、時代設定自体がない。歴史的な背景のあるアニメでも、他国が舞台では仕方がない。江戸幕府や江戸時代の文化についてならよく話す子供も、中華の伝統や流儀となると黙ってしまい、親しみも覚えていない様子だ。
この教授の指摘はことさら大げさとは言えない。そうした例があるのは確かだ。北京テレビは、明代の武将・戚継光(せき・けいこう)を題材としたアニメの制作前、「戚継光を知っていますか」と聞く調査を行った。結果は、「銃口を塞いだ人」(朝鮮戦争の烈士・黄継光(ホアン・ジーグアン)との混同)、「トーチカを爆破した人」(中国の解放戦争の烈士・董存瑞(ドン・ツンルイ)との混同)、「台湾を奪回した人」(明代の鄭成功(てい・せいこう)との混同)などの間違いが続出した。
歴史をおろそかにすることの危険は、知識が抜け落ちてしまうということだけにあるのではない。過去に経てきた困難や危険を知らなければ、現在の出来事を単独で認識するしかなくなる。理想化された概念からの認識に傾き、地に足のついた「理解して同情する」という態度が取れなくなる。そうなれば自国に合わないユートピアを自らの桃源郷と思い込んでしまう危険も生まれる。
本国の歴史をおろそかにする危険は深刻である。長期にわたって文化に親しみ、薫陶されることがなければ、価値の共有は実現できない。同じ想像の産物でも、「嫦娥が月に上った」という伝説は迷信になり、「トランスフォーマーが月に上った」という話は科学的なものだと思い込む。それも仕方がないだろう。子供はお守りをする者になつくものだ。
こうした状況の改善は、「戚継光に銃口を塞がせない」ことから始めるしかないだろう。現実的な歴史に基づく題材をテレビではもっと取り上げるべきだ。倭寇に対する幾多の戦役は「桶狭間の戦い」や「信長の野望」よりも中国の子どもたちの関心に値するだろう。
そんなことをしても子供は見ないから無駄だ、という人もいるかもしれない。それは柔軟性を欠いた認識だとも言えるし、われわれの注意を促しているとも言える。民族や歴史にかかわるメインストリームの芸術作品を、つまらない・説教くさい・影響力がないという泥沼から、なんとかして救い出さなければならない。
そのためにはどうすればいいのか。願望だけ抱いているのではなく、芸術の伝播の法則に従って事を進める必要がある。記者は排外主義を主張するものではない。またアニメを歴史講座にして毎日これで教化をはかれと主張しているのではない。ただ訴えたいのは、フライパンで夫をひっぱたく狼(中国国産アニメ「喜羊羊と灰太狼」)や猫をぺちゃんこにする鼠(「トムとジェリー」)だけ見ていたのでは何か足りないのではないのかということだ。戚継光や文天祥(ぶん・てんしょう)、孔子や老子を題材にした作品があれば、子供たちにとってはもっと良いパートナーとなる。これらの作品はほかの作品と違い、子供たちの一生の良き導き手になってくれるはずだ。(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/武藤)
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