<コラム>また出た!中国の「打ち出の小づち」、バブル崩壊回避の秘策

山口 康一郎    2017年4月22日(土) 11時20分

拡大

今、中国は、バブル、景気、外交でかなりきつい状況になっている事は周知のとおりである。特に北京、上海など大都市の不動産高騰はバブル崩壊の危険性を常にはらみながら 政府がいろいろな規制、指導をしても止まらない。写真は河北省。

日本がそうであったように、もう土地転がしだけで儲ける時代は終わりではないかと思われる。しかも日本のようなバブル崩壊を極力回避しながらのソフトランディングも十分ありえるのである。よく考え練られたシナリオである。

これからは、その土地でどう儲けるかの時代に本格的に変わる予感がする。何をして儲けるかにポイントが移る。実のところ、2〜3級都市の不動産活用が一番問題になると予見される。別の視点からみれば、今後ビジネス的には、4〜5級都市が見直される可能性が高い。

今までは、首都の北京だから、経済の上海だからと、さらに政府がそれを放棄することもない、決して値下がりすることはないはずだと思い込み、北京や上海など大都市の不動産の購入に先を争ってきてバブルが起こった。しかし、首都の不動産、経済のお膝元の政府にも頼れないとなれば、人々に大きい打撃を与える。加熱しすぎた不動産投資に水を差す効果的なやり方であると言えよう。今度の特区の発表と関連し、絡めて先立って発言していたと思われる。

もっとも、4月3日付の地元紙によると、雄安の現地では、さっそく投機マネーが動いているらしい。発表直後から不動産を購入しようと北京や天津の富裕層が殺到し、2日午前には混乱を恐れた地元当局が不動産売買を一時停止し、不動産会社の出入口が封鎖される騒ぎになったというが。それもそれだけ事前に特区新設を知り不動産購入して大儲けした人がないということだとも受け取れる。

昨今、中国政府は、前述の通り過去の失敗を繰り返さないような施策を打ってきている。日本のバブル崩壊、リーマンショックなど過去の内外の事例にも学んでいる。バカではない、とても凄い点だと認めざるを得ない。今回の特区の発表前、1年以上の時間があったと思うがインサイダー取引が行われないように企画段階でパイプのある人間にも事前の根回し作業を済ませておいたに違いない。かなりの情報統制や水面下での根回し手回しが済んでいたのだと思われる。

今度の特区は今までとも違い強い規制をしながらの開発になることは間違いない。という事は、今までの放置型の不動産投機はもう出来ない。このシナリオが実現するならば、中国の崩壊は、当分の間は来ない。

北京や上海など大都市バブルは徐々に沈静化し、地方の開発も加熱しすぎないように内需拡大とともに適正な発展をするはずである。まあ、あくまで「はず」ではあるのだが、少なくともトータルでみれば、出来ない話ではない。後は、人民が新しい秩序と新しい概念「新常態(ニューノーマル)」をどう受け入れ、どう動くかであろう。

■筆者プロフィール:山口康一郎

1958年鹿児島で衣料問屋の長男に生まれる。現在、中国辺境雲南省の大理古城に居住。17歳の時に喫茶店を開業。23歳の時に法人設立。その後、年商10億まで拡大するまでに至ったが、視察旅行で感じた中国の面白さにハマり、中国移住を計画。国内事業を全て精算し、離婚までして中国に移り住む。「中国人の性格、考え方、制度」や「中国での日本人の生活や起業方法」など、日本からは見えない中国からの日本人としての視点と、日本の商売人の視点から情報を発信します。信条は「三方よし」。

■筆者プロフィール:山口 康一郎

経歴:1958年鹿児島で衣料問屋の長男に生まれる。鹿児島経済大学(現鹿児島国際大学)中退。現在、中国辺境雲南省の大理古城に居住。受験校で有名なラ・サール中学校に入学するが家庭の事情とビジネスに目覚めたことで中退。17歳の時に喫茶店を開業。23歳の時に法人設立。その後、中古電化製品販売店3店舗、携帯電話(auショップ)販売店7店舗、金券ショップ3店舗等々、年商10億まで拡大するまでに至ったが、視察旅行で感じた中国の面白さにハマり、中国移住を計画。国内事業を全て精算し、離婚までして中国に移り住む。「中国人の性格、考え方、制度」や「中国での日本人の生活や起業方法」など、日本からは見えない中国からの日本人としての視点と、日本の商売人の視点から情報を発信します。信条は「三方よし」。

Facebookはこちら、豆瓣(中国語SNS)はこちら
※フォローの際はメッセージ付きでお

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携