<コラム>中国「ポスト習近平」政権を占う、結果は秋の共産党大会で判明

如月隼人    2017年7月19日(水) 21時20分

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中国共産党は今年(2017年)秋、5年に1度の全国代表大会(党大会)を開催する。この党大会で、「ポスト習近平」となる次期政権担当者が決まる可能性が極めて高い。写真は中国共産党および中国政府の中枢がある中南海。

「権力闘争」と言えばそれまでだが、習総書記の共産党政権の存続に対する強い危機感の表れと理解することもできる。江元総書記は天安門事件をきっかけに中央政界入りしたわけだが、上海で活動していたために中央政界に強い基盤がなかった。そのため、かなり露骨な「利益誘導」で地位を固めた。その結果、江元総書記につながる人脈からは「腐敗問題」を起こす者が続出した。

胡錦涛前書記の最大の特徴は、開明的な傾向の強い中国共産主義青年団(共青団)の指導者を務めた経験のあることだ。胡前書記を中心とする人脈は「団派」などと呼ばれている。事務処理能力が抜群で、外交では強引な手法を控えるなどの傾向があった。問題は「迫力不足」で、胡錦涛政権に対しては「結局は何もやれなかった」との批判も発生した。江元総書記の一派ほど多くはないが「腐敗問題」を起こして失脚した人物もいる。

◆孫政才氏は重慶市書記を解任、レースから完全脱落か

先ほど、中央政治局非常務委員で60年代生まれの人物として、孫政才、胡春華両氏の名を挙げたが、孫氏はすでに「常務委員入り」のレースからは脱落したと見られている。7月15日までに、孫氏が重慶市委員会の書記を解任されたことが明らかになったからだ。孫氏の異動先は明らかにされておらず、「失脚」との見方が出た。一部メディアは、孫氏が「妻の腐敗に関連した」疑いのために北京市内で取り調べを受けていると報じた。

重慶市委員会の書記は難しい立場だった。同市で2007年から共産党委員会書記を務めた薄熙来受刑者は、2012年2月に失脚。罪状は職権乱用だったが、背後には薄氏が習近平政権の発足を阻止しようとした権力闘争があったと見られている。

その重慶市への赴任には当初から「孫政才いじめ」との見方もあったほどだ。そして、中国共産党中央は2016年ごろから、重慶市の共産党幹部について薄熙来時代からの「思想の遺毒が残っている」と複数回にわたり批判していた。孫氏の「次期政権へのレース」からの脱落は、習近平政権のシナリオ通りの感すらある。

◆習近平「子飼い」の陳敏爾氏がさらに浮上

孫氏の後任には、中国共産党貴州省委員会書記だった陳敏爾氏が就任した。陳氏は1960年生まれで、習近平総書記の腹心の1人。2015年には貴州省委員会書記に就任していた。

陳氏の現在の党内地位は中央委員会委員で、孫政才氏や胡春華氏よりも1つ下だ。しかし次期政権担当者を目指すレースで、このことは本質的な障害にはならない。5年に1度の党大会で1段ずつ昇格し、定年制限で阻まれる前に「常務委員」の地位を獲得するのは極めて困難であり、実際には胡錦涛前総書記も習近平現総書記も中央委員会委員から「中央政治局非常務委員」を抜かして同常務委員に「飛び級」しているからだ。

したがって、陳敏爾氏が今年秋の党大会で「次期政権の担当者」として中央政治局常務委員に就任する可能性はかなり高いと考えられる。

◆元ロケット科学者の張慶偉氏は「ポスト習近平」のダークホース

もう1人、注目すべき人物は、現在は中央委員会委員である張慶偉氏だ。張氏は元ロケット科学者で、中国の宇宙開発や恐らくミサイル技術の向上でも、最も大きな功績を残した人物のひとりだ。2011年には政界に転じ、2012年1月から河北省長を務めた後、17年4月1日付で黒龍江省委員会書記に就任。6月には同省人民代表大会主任も兼任することになった。

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