「お降りのお客様は飛び降りてください」=中国で高速鉄道をめぐる争いが表面化

月刊中国ニュース    2017年11月5日(日) 16時0分

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北京と九龍を結ぶ「京九高速鉄道」をめぐり表面化した地方都市の争い。そこには中央と地方政府、そして住民の網の目のように絡み合う目算と思惑があった。写真は河南省を走行する高速列車。

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「京九高速鉄道に乗車のみなさま、まもなく河南省濮陽市です。当市は地級市としては唯一、列車が通過するのみで駅がございません。お降りになるお客様は、乗車口にお越しいただき、飛び降りる準備をお願いいたします」このほど、北京と香港・九龍を結ぶ京九高速鉄道の車内放送のパロディらしき上記の文章が、濮陽市民の微信(WeChat)のモーメンツ上で拡散された。

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ことの発端は、河南省濮陽市党委員会の機関紙『濮陽日報』が8月7日に微信の公式アカウントで公開した「京九高速鉄道が濮陽に駅を設置しないことに関する九つの問い」(以下「九問」)と題する文章である。

「8月5日に実施された京九高速鉄道の雄安-商丘間の敷設に関するFS(フィージビリティスタディ)論証会において、中国鉄道総公司のある主管職員は『台前県東部の晋豫魯鉄道(山西省呂梁市興県瓦塘鎮と山東省日照港を結ぶ鉄道。山西省・河南省・山東省を通過)の2キロ先で黄河を渡り、陽谷県内に陽谷台前駅を設置する』案(東線案)のみの検討を強く推していた。これはつまり、京九高速鉄道が濮陽市を『通過はするが、駅は設置しない』ということである」これにより、京九鉄道の駅設置をめぐる各当事者間の駆け引きが公にされることとなった。

■「400万市民の利益を無視した」高速鉄道計画

「昨年3月18日にK7976号(濮陽-鄭州間)の列車が濮陽駅の1番線を出発、旅客列車の通らない濮陽市の歴史はここに幕を閉じた」(河南省『大河報』紙)。1983年の市設置から実に33年もの間、濮陽市には旅客列車の駅がなかった。それまで、河南省の直轄市で国有旅客鉄道が通っていなかったのは濮陽市だけだった。現地の住民は周辺の安陽市、聊城市、邯鄲市などから列車に乗るほかなかった。京九高速鉄道の建設計画は、こうした市民の期待を大いに高めるものだった。

国家発展改革委員会、交通運輸部、中国鉄道総公司は昨年7月に「中長期鉄道網計画」を合同で発表、京九高速鉄道は同計画の一大プロジェクトとして、そのルートが大いに注目された。

京九高速鉄道は、北は北京から南は香港の九龍まで全長約2400キロを結び、その建設については、地区ごとに線路を敷設して連結する方式が採用されている。中国鉄道設計集団有限公司の公式ウェブサイトでは、京九高速鉄道は雄安―商丘間で衡水市、聊城市、濮陽市、カ沢市(カ=草かんむりに河)、商丘市などを経由するとされていた。

しかし、「九問」によると、中国鉄道総公司が現在推進している案では、京九高速鉄道は濮陽市の市街地を通らず、山東省と河南省の境にある山東省陽谷県内に駅を設置し、そのあと駅を設置するのは済寧市梁山県、カ沢市ウン城県(ウン=軍におおざと)のみ。「論証会で強く推奨された東線案は全国鉄道網計画に沿ったものではなく、山東省聊城市など一部地域の利益のみを考慮したものであり、400万人の濮陽市民の利益はまったく無視されている」。また、東線案のルートについて、黄河渡河地点の選定が難しい点(黄河が蛇行しているため、堤防未整備箇所が多い上に、重要なインフラ網工事が集中している)や炭坑地区を通る問題(地盤対策が技術的に難しく、採掘権・鉱脈調査権取得済みの炭鉱に対する巨額の補償金が発生する)を指摘している。

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