<直言!日本と世界の未来>安倍首相、米中対立の「橋渡し役」に=大阪G20で「反保護主義」主導を期待―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2019年2月17日(日) 6時0分

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次代の覇権をめぐる米国と中国の争いは底流としてくすぶり続けるとみられ、これに日本はどう対応すべきか問われている。

世界経済にとって大きなリスク要因は米中経済摩擦問題。年始以来の次官級会談や閣僚会談などを経て、3月にも予定されるトランプ大統領と習近平国家主席によるトップ会談でひとまず手打ちとなりそうだ。次代の覇権をめぐる中長期の争いは底流としてくすぶり続けるとみられ、2大国間の確執に日本はどう対応すべきか問われている。

米中経済摩擦は両国経済だけでなく世界全体にダメージを与え、貿易戦争に勝者はない。中国にとっては国有企業改革など構造問題の解決もカギとなる。経済が高成長の間に改革し、不良債権削減に着手したいと考えていたようだが、景気の浮揚のため金融緩和やり過ぎてしまうと将来にツケを残してしまう。また財政出動も過剰投資問題につながり、今後のかじ取りは難しい。

一方で、米国でもトランプ氏の保護主義への懸念が出始めている。大豆農家や鉄・アルミなどの原材料の高騰にあえぐ製造業の不満は大きい。法人税減税やインフラ投資も息切れ状態で、「不確実性の高まり」が米国でのキーワード。株式・金融市場でボラティリティ(激しい値動き)が高まっている。

これらに日本はどう対応するか。ピンチをチャンスに変えていく余地があると思う。一つはG7(主要先進国)での経験が豊富な安部首相の存在感が相対的に高まっていることを生かして、日本が多角的で自由で公正な貿易体制の維持と発展に向けて旗振り役としての役割を示していくことが重要だ。アジア、特にASEAN(東南アジア諸国連合)には日本に「反保護主義の盾」になってほしいという思いがある。日本の経済規模は相対的に縮小しているが、自由で公正でルールに基づく体制の守護神にならなければならない。

安全保障分野では米国を基軸としていくことは普遍的な命題だが、一方で隣に位置し世界最大の消費市場である中国の経済は日本にとって最も重要である。米国との絡みで彼らは長期戦略で日本に近付いてきている。中国は自由貿易を最近強く言いだしており、評価できる。

貿易立国・日本は、アメリカファーストを掲げ保護主義的な政策を主導する米国とは全面的に手を組むことはできず、中国とも全面的な妥協はできない。第3の経済大国日本は、ある時は米国、ある時は中国と手を握って対応しなければならない。

米国を除く11カ国の環太平洋経済連携協定(TPP11)、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)に続き、日本、中国、インドなど16カ国による広域自由貿易圏・東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の締結を日本は主導すべきである。参加国は立場の違いを乗り越え、早期決着に全力を挙げる必要がある。RCEPの交渉にはオーストラリアやニュージーランド、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)も参加している。成長力の高い中国やインドを取り込んで貿易の自由化を推進し、知財や電子商取引のルールを整備する意味は大きい。これが発効すれば、世界の国内総生産(GDP)と貿易額の約3割を占める巨大な自由貿易圏が誕生する。

RCEPの実現は参加国の経済を底上げし、ヒト・モノ・カネの磁力を高めるだけではない。米トランプ政権が拡散する保護貿易の防波堤を固め、世界経済の安定を支える効果も期待できる。6月の大阪での20カ国・地域首脳会議(G20)ではホスト役となる安倍首相が、トランプ大統領や習主席、プーチン大統領らとの世界の平和と繁栄に向けた「橋渡し役」となるよう期待したい。これにより日本の存在感を高めてほしいものだ。

<直言篇81>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。



■筆者プロフィール:立石信雄 1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。

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