日本の人間国宝が認めた中国人陶芸家―宋少鵬 承相紫砂研究所所長

Record China    2019年7月25日(木) 16時20分

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岡山に「人間国宝」の伊勢崎淳氏を訪ねたばかりの中国人青年陶芸家・宋少鵬は、東京で本誌の取材に応じた。

今日の成功について、宋少鵬は自身の人生を「順調過ぎます!」と謙虚に話す。それは、彼の「ゼロから始める」との人生哲学と、プロセスを大事にし、細部を疎かにせず、最高のものを追求する剛毅な人格によるものだ。彼は事業も人生もすべてにおいて物事を順序良く漸進的に進め、一つひとつ積み上げ、手間を惜しむことなく、世俗に媚びることもない。

一つひとつのプロセスを厳密に把握して事に当たったことが、成功への近道となった。彼は5年の間に考古学や歴史を学び、陶芸の大家を訪ね、技術交流を行い、それまでの15年間の迷いを一掃した。そして、20年間堅実に積み上げてきたものは、60年の技と力を具えた日本の備前焼の大家・伊勢崎氏との出逢いによって成功へと導かれたのである。

ここで記者はひとつ贅言を綴りたい。伊勢崎先生を訪ねたのは今回が二度目であった。老先生は折々に、奥様に和菓子と抹茶を出すよう促し、我々を工房に案内してくださった。そして、ともに山を登り、先生が六十年以上使用してきた半地上式の穴窯を見学し、その後、江戸時代末期に廃止された「南大窯」跡に足を運んだ。陶器の破片が散らばる窯跡を行く間、老先生は黙して語らず、洒脱な白髪がそよ風になびいていた。先生は記念碑の前で我々と記念撮影をしてくださり、その後、我々はうどんを食べに出掛けた。先生のお宅に戻ってみると、宋少鵬がお礼に贈った二点の作品は、すでに老先生が制作した作品とともに室内の同じ陳列台の上に置かれていた。老先生は携帯電話をかけ向いに住む同じく陶芸家の息子さんを呼んだ。部屋に入って来るや、彼は宋少鵬が贈った二つの作品を目にし、二つの作品を手に取って繰り返し丹念にながめ、しばらく手放すことはなかった。この時、工芸は国境を越え、創作は人の心を打つものなのだと感じた。


記者が宋少鵬に人生の目標を尋ねると、彼は謙遜して、自分はまだ若く、考えが成熟していないかもしれないとしながら、中国宋代の八大名磁器の伝統的柴焼技術を復活させたいと答えた。彼の願望は、自身の作品が国賓への贈答品として選定されることだという。そして彼の夢は、百花繚乱の国内外の陶磁器交流の庭でひときわ美しく咲く花になることだ。

それは決して荒唐無稽な空言ではない。宋少鵬はすでに新たな技術によって伝統工芸伝承の問題を克服しつつある。銀兔毫と銀油滴の落灰焼成の復元に成功し、現在、曜変天目の落灰釉焼成の復元に取り組んでいる。

中国の陶芸文化がフェニックスの如く甦り、中国の青年陶芸家・宋少鵬の新作が次から次へと世に出てくることを待ち望んでいる。(提供/人民日報海外版日本月刊)

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