アベノミクスで日本経済改善したが「国債バブル」懸念も=消費増税、予定通り実施を―武藤大和総研理事長

Record China    2013年8月23日(金) 17時42分

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23日、武藤敏郎大和総研理事長(元財務次官・日銀副総裁)は記者会見し、アベノミクスにより全体的に日本経済は改善されつつあり、予定通り来年4月からの消費増税は実施すべきである、との見解を表明した。

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2013年8月23日、武藤敏郎大和総研理事長(元財務事務次官・日銀副総裁)は記者会見し、アベノミクスにより全体的に日本経済は改善されつつあり、予定通り来年4月からの消費増税は実施すべきであるとの見解を表明した。ただ日本銀行の異次元緩和により「国債バブル」的な状況にあるとの認識を示した上で、「黒田日銀総裁は(出口戦略を模索している)バーナンキ米FRB(連邦制度理事会)議長と同じ悩みを抱えることになる」との見方を明らかにした。

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発言要旨は以下の通り。

中国・海南島で今年4月に開催されたボアオ・アジア・フォーラム(アジア版ダボス会議)での参加者の関心は日本の「アベノミクス」だった。矢継ぎ早の質問が寄せられ、注目度が高いことを実感した。参加者の多くからから「円安政策は過度の誘導策ではないか」との質問があった。中国関係者からは「もともと日本の産業は競争力が失われているので円安では対応できないのではないか」「アベノミクスは尖閣諸島問題で米国の支持を得るため米国に対し配慮したものではないか」との問いも寄せられた。これらの疑問に対し、私は「いずれも事実は違う」と否定した。

アベノミクスに対する市場の反応は株価が上昇するなどポジティブだ。円安によって輸出企業の収益が増大。国際競争力も向上している。欧州情勢が落ち着いたことや米国の景気回復もあり、輸出が増えた。ただ、(異次元金融緩和により)「国債バブル」的な状況にあり、黒田日銀総裁は(出口戦略を模索している)バーナンキ米FRB(連邦制度理事会)議長と同じ悩みを抱えることになろう。

課題は賃金が上がっていないことと設備投資が伸びていないことだ。全体的に日本経済は改善しており、今年度のGDP成長率は3%を達成する見通しだ。14年度は消費増税を控えた駆け込み需要の反動減から1.4%に鈍化する。

来年4月からの消費税増税の是非をめぐり議論されているが、現在の経済情勢は昨年秋に成立した増税法案の付則にある「見直し条項」を適用しなければならない状況にはない。日本は主要国首脳会議(サミット)など国際会議で「財政再建」を義務付けられており、消費増税を見送った場合、国債格付けの引き下げは必至である。日本は中国と同じ「AAマイナス」だが「シングルA」になるだろう。「中期財政計画」も大きく狂うことになる。したがって、予定通り消費増税は実施すべきである。(取材・編集/HY)

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